映画評「人質 韓国トップスター誘拐事件」
☆☆★(5点/10点満点中)
2021年韓国映画 監督ピル・カムソン
ネタバレあり
インド映画や韓国映画を洗練されていないとして世間ほど評価していない僕は、韓国の俳優の名前を十人知っているかどうかに過ぎない。
本作のキモは、ファン・ジョンミンという人気俳優(人気俳優と言いながら “という” を使うところがレトリック)が本人役を演ずるということ。ということで実話ものと思って観続けるうちに、これはどうも違うわいということになって来た。
街で誘拐殺人事件が沙汰されているある日、人気俳優ファンがマネージャーと別れ、車の鍵やカードを含めた一揃いをコンビニに預けた後、チンピラ・グループに襲われる。これがただのチンピラではなく高級車に乗った人に目を付けて営利誘拐するグループで、先の人質事件の犯人グループと同一である。
彼が監禁されるアジトにはその事件の生き残りの美人店員イ・ユミがいて、二人は協力し合って、何とか抜け出そうと、知恵を絞るが、もう一歩のところで捉えられてしまう。
というお話で、身代金入手に手間取るうちにグループの親分キム・ジェボムとナンバー2リュ・ギョンスの確執が激しくなり、その間隙の為に警察がグループに接近しやすくなる。そこで何が起こるか?
韓国犯罪映画に多い、残虐な知能犯が自首して警察とリュを出し抜こうとする辺りが本作の面白さ。しかし、「犯罪都市」シリーズ2作を観た後ではこの親分でも弱いくらい。かのシリーズは韓国映画では珍しく警察(の一部)が有能だったが、本作の警察はいつものレベル。
警察がいつも通りダメでも、韓国映画の悪癖であるコミカルな処理(これが洗練度を下げている最大要因)を一切していないのは好感が持てる。
ファン氏が一度逃げ込んだ先の老人に関するアイデアは、警察がアジトに近づく結果をもたらすものの、少し知恵が足りない感じで惜しい。
これまで見て来た営利誘拐サスペンスは、外部にお金を用意させるわけだが、本作は本人の持っているカードを使おうとするのが新手。確かに外部に連絡するよりは危険性は低い。しかるに、ITに聡ければ、相手と自分の命を危険にさらす誘拐などするには及ばないという気もする。現実世界では、失敗する可能性の高い営利誘拐よりフィッシング詐欺がダントツに主流でありましょう。
端役で本人役で出演する映画は特に洋画では無数にあるが、主役でそれもシリアスな映画では非常に珍しいと思う。クリント・イーストウッド監督「15時17分、パリ行き」が近いが、あれは寧ろ本人が俳優として出演した形。完全なるフィクションにあるかなあ?
2021年韓国映画 監督ピル・カムソン
ネタバレあり
インド映画や韓国映画を洗練されていないとして世間ほど評価していない僕は、韓国の俳優の名前を十人知っているかどうかに過ぎない。
本作のキモは、ファン・ジョンミンという人気俳優(人気俳優と言いながら “という” を使うところがレトリック)が本人役を演ずるということ。ということで実話ものと思って観続けるうちに、これはどうも違うわいということになって来た。
街で誘拐殺人事件が沙汰されているある日、人気俳優ファンがマネージャーと別れ、車の鍵やカードを含めた一揃いをコンビニに預けた後、チンピラ・グループに襲われる。これがただのチンピラではなく高級車に乗った人に目を付けて営利誘拐するグループで、先の人質事件の犯人グループと同一である。
彼が監禁されるアジトにはその事件の生き残りの美人店員イ・ユミがいて、二人は協力し合って、何とか抜け出そうと、知恵を絞るが、もう一歩のところで捉えられてしまう。
というお話で、身代金入手に手間取るうちにグループの親分キム・ジェボムとナンバー2リュ・ギョンスの確執が激しくなり、その間隙の為に警察がグループに接近しやすくなる。そこで何が起こるか?
韓国犯罪映画に多い、残虐な知能犯が自首して警察とリュを出し抜こうとする辺りが本作の面白さ。しかし、「犯罪都市」シリーズ2作を観た後ではこの親分でも弱いくらい。かのシリーズは韓国映画では珍しく警察(の一部)が有能だったが、本作の警察はいつものレベル。
警察がいつも通りダメでも、韓国映画の悪癖であるコミカルな処理(これが洗練度を下げている最大要因)を一切していないのは好感が持てる。
ファン氏が一度逃げ込んだ先の老人に関するアイデアは、警察がアジトに近づく結果をもたらすものの、少し知恵が足りない感じで惜しい。
これまで見て来た営利誘拐サスペンスは、外部にお金を用意させるわけだが、本作は本人の持っているカードを使おうとするのが新手。確かに外部に連絡するよりは危険性は低い。しかるに、ITに聡ければ、相手と自分の命を危険にさらす誘拐などするには及ばないという気もする。現実世界では、失敗する可能性の高い営利誘拐よりフィッシング詐欺がダントツに主流でありましょう。
端役で本人役で出演する映画は特に洋画では無数にあるが、主役でそれもシリアスな映画では非常に珍しいと思う。クリント・イーストウッド監督「15時17分、パリ行き」が近いが、あれは寧ろ本人が俳優として出演した形。完全なるフィクションにあるかなあ?
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