映画評「銀平町シネマブルース」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・城定秀夫
ネタバレあり

城定秀夫シリーズ第5弾(脚本作含む)。

先日鑑賞した廣木隆一監督「月の満ち欠け」には実在の名画座・早稲田松竹が出て来たが、こちらには銀平スカラ座なる架空の名画座(撮影は川越スカラ座なので、モデルと考えらえる)が出て来る。脚本はいまおかしんじ。

ホームレス寸前にまで落ちれぶれたホラー映画監督・小出恵介が、貧困ビジネスをする壮年女性浅田美代子によって、以前彼の鞄を持ち逃げした映画好きホームレスと再会、付き合ううちに人情家の支配人・吹越満の経営する名画座銀平スカラ座で働くことになる。職員や集う連中も気の良い人々ばかりだ。
 しかし、経営は厳しく、クラウド・ファンディングなどで再建費用を集めようとするが、なかなか良い企画もない。新人女性監督・小野莉奈のラッシュも見るが、今一つ乗れない。
 ある時支配人が小出の未完成のビデオを発見、小野監督のラッシュで小出の涙について勘違いもするが、とにかくこの映画を完成させ、60周年記念イベントの目玉とすることにする。
 噂を聞いて、吹越が勝手に死んだと勘違いした映画の主演女優たる元妻・さとうほなみが娘を連れて現れ、併映した小野監督のコメディーも好調のうちにイベントも終了する。小出が涙を流した本当の対象である、自殺した彼の助監督の母親・片岡礼子も彼に感謝して映画館を去る。

廃業寸前の映画館、あるいは映画館に関する良い映画は色々とあるが、名画座が迎えている現状や、食べていけない貧しい人々を巡る社会的要素をちりばめて、そこはかとなく映画好きを感動させるなかなかウェルメイドなヒューマンなお話になっている。
 ウェルメイドと言う割に☆★が少ないのは、さすがにこう定石的な要素を次々繰り出されては照れてしまうからである。

いずれにせよ、城定監督の正体が益々解らなくなった。

半世紀前可愛らしかった浅田美代子が最近はちょっとした悪女役でよく見る。消えなかったアイドル系の一人だ。

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