映画評「マーベリックの黄金」

☆☆★(5点/10点満点中)
1971年アメリカ=イギリス合作映画 監督サム・ワナメイカー
ネタバレあり

「マッケンナの黄金」(1969年)「マタクンベの黄金」(1976年)という邦題の映画があって、いずれも西部劇であるし、当時から本作とよく混同したが、今となっては益々どれがどれだか解らないようになった。大昔に多分吹替版で観たことがあり、今回が二度目。

南北戦争から大分経っての時代であろう。ユル・ブリンナーが一味を使って、所有者不在(マヴェリック)と考える牛を盗んだ後、所有者と称する人物に依頼されてやむなく逮捕にやって来た保安官リチャード・クレンナがインディアンに射られたのを助ける。
 ブリンナーは結局逮捕された振りをして保安官を騙す形で、支援した仲間と共にメキシコへ逃げ込む。今度は所有者不明の金塊を盗むつもりだが、保安官だけでなく、牛の保有者から依頼された殺し屋レナード・ニモイも追いかけて来る。

彼らにメキシコ女性が絡んで賑やかすコミカルな一編で、監督は俳優としてよく見たサム・ワナメイカー。
 彼の他の仕事ぶりを見ると余り期待できないわけで、三者の絡みや殺し屋以上に怖い毒矢を持つインディアンの襲撃等サスペンスフルに見せるべきところはそうしないといけないのに、間延びしてどうも腰砕け。それどころか、黄金を積んだラバ隊を一味が襲う肝心の見せ場はコミカルに処理しすぎで、作戦ミスでありましょう。

ブリンナーの仕込みブーツ(ピストルが入ったブーツ)など仕掛けとして面白い部分もあるが、全体としては平凡な西部劇と言わざるを得ない。

ブリンナーとクレンナは一種の喧嘩友達関係で、どなたかが仰っているようにルパン三世と銭形警部の関係に近い。これを面白いと思うかどうか(緊張感が薄いと取るか)によっても評価は分かれるだろう。

「黄金の七人」のヒット以降、世界で黄金が大人気でしたね。

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