映画評「エピデミック~伝染病」
☆☆★(5点/10点満点中)
1987年デンマーク映画 監督ラース・フォン・トリアー
ネタバレあり
ラース・フォン・トリアーの長編第2作。
第1作の「エレメント・オブ・クライム」でもドイツ表現主義という印象の中に、ポーランド時代のイエジー・スコリモフスキーを思い出させる画面感覚を感じたが、それはこの映画にもある。彼ほど前衛的でないにしても、現実とも夢とも決めつけられない感覚は結構共通するものがあるのではないか。
トリアーと共同脚本のニルス・ヴァセルがエピデミックが進む世界を描く脚本を書くが、脚本はITが原因で消失、悪戦苦闘するうちに実際のエピデミックが押し寄せる。
というお話だが、脚本のお二人が主演していることで、この映画こそ彼らが書いた劇中劇そのものであるというメタフィクション的な解釈が成り立つ。つまり、合わせ鏡のような状態で、延々とメタ的世界が展開するのである。
こう理解すれば、ちょっとした実験映画として面白く見られる。メタフィクション好きかスコリモフスキー好きにお薦めしたい。
因みに、パンデミックはコロナが蔓延して定着したが、エピデミックはそのひとつ前の段階。中国で起きたが日本にはやって来なかったSARSはエピデミックを越えたが、パンデミックの初期段階で終わったということかな?
1987年デンマーク映画 監督ラース・フォン・トリアー
ネタバレあり
ラース・フォン・トリアーの長編第2作。
第1作の「エレメント・オブ・クライム」でもドイツ表現主義という印象の中に、ポーランド時代のイエジー・スコリモフスキーを思い出させる画面感覚を感じたが、それはこの映画にもある。彼ほど前衛的でないにしても、現実とも夢とも決めつけられない感覚は結構共通するものがあるのではないか。
トリアーと共同脚本のニルス・ヴァセルがエピデミックが進む世界を描く脚本を書くが、脚本はITが原因で消失、悪戦苦闘するうちに実際のエピデミックが押し寄せる。
というお話だが、脚本のお二人が主演していることで、この映画こそ彼らが書いた劇中劇そのものであるというメタフィクション的な解釈が成り立つ。つまり、合わせ鏡のような状態で、延々とメタ的世界が展開するのである。
こう理解すれば、ちょっとした実験映画として面白く見られる。メタフィクション好きかスコリモフスキー好きにお薦めしたい。
因みに、パンデミックはコロナが蔓延して定着したが、エピデミックはそのひとつ前の段階。中国で起きたが日本にはやって来なかったSARSはエピデミックを越えたが、パンデミックの初期段階で終わったということかな?
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