映画評「地球防衛軍」
☆☆(4点/10点満点中)
1957年日本映画 監督・本多猪四郎
ネタバレあり
僕は少年時代から洋画派で、東宝特撮映画には甚だ不熱心。本作は多分前世紀の終わりくらいに観たような記憶があり、時期ははっきりしないものの、IMDbに星を投じている。年を食って甘くなったか、あるいは昨今の娯楽映画が全体的に低調のせいか、★一つ増えました(決めてからIMDbに行ったので、決して意図的に増やしたわけではない)。
祭が行われている村で山火事が起き、翌日には村を全滅させた山崩れが報告される。そこから後に大型ロボットと判る怪物モゲラが現れ、地球人側と言うか日本の自衛隊は苦労するが、何とか橋ごと撃滅することに成功する。
火星と木星の間で或る活動を見出して、結果的にこの宇宙人侵略を予見した若手科学者・白石(平田昭彦)は、山崩れと共に行方不明となるが、その後翻訳機を介して地球語(ここでは日本語オンリー)の話せる宇宙人即ち白石の言うミステリアンは富士山裾野の3km範囲を自分達の居住地区とし、かつ、地球の女性と交配を認めさせてくれと、通告してくる。ここまでは穏便な要求と見なされ、かつ、TV画面を通じて現れた白石もこれに同調する。
しかし、彼の友人である渥美(佐原健二)や、他の科学者・軍人たちは同意せず、地球文明の遥か先を行くミステリアンに適う兵器もありそうもなく、知恵を絞らざるを得ない。かくして世界の戦略家たちが集まって会議を開き、熱線をはじくマーカライトとそれらを使った戦闘機や熱線砲マーカライトファープを投入して、攻撃を仕掛ける。
一見「地球の静止する日」の宇宙人の如き平和的存在と思わせておくというミステリアンの狡賢さがなかなか面白いが、上映時間の短さもあってか、地球人は白石を除いて妙に好戦的である。その代わり宇宙人に反戦思想を繰り出させ、地球側は防衛の為に戦うという自衛隊の目的そのままの行動を取らせて、帳尻を合わせている。
この辺りの強引さに少々苦笑が洩れるが、東宝特撮映画初のカラー映画で、巨大ロボットのモゲラやマーカライトファープなど兵器群、あるいは火災や洪水などSFX(円谷英二が特撮監督)は現在の目には貧弱ながら、大いに楽しめる。カメラを一切使わない事実上のアニメであるVFXと比べても大して意味はない。
スプートニク成功の直後に作られた映画なので、宇宙空間に関する知識もかなり正確だ。ただ、宇宙人の造形は人間そのもので甚だつまらない。尤も、英米映画のエイリアンが大体において高等知能を持つ生物としては不自然すぎる(脳を大きくするには二足歩行は必要で、多かれ少なかれ人類のような格好にはなる)ので、どっちもどっちか。
天文台長(志村喬)に永遠に彷徨する運命と言われたミステリアンがイスラエルに見えて来た。
イスラエルの方がミステリアンより悪のように感じさえするが、エイリアンと関係することを即拒否する発言をする白石の妹(白川由美)は、相手が人類であれば大きな民族差別発言だな、とニヤニヤしながら画面を眺めていた。
アジアプロ野球チャンピオンシップで、日本が勝ちました。同じ戦いならスポーツの方が良いね。
1957年日本映画 監督・本多猪四郎
ネタバレあり
僕は少年時代から洋画派で、東宝特撮映画には甚だ不熱心。本作は多分前世紀の終わりくらいに観たような記憶があり、時期ははっきりしないものの、IMDbに星を投じている。年を食って甘くなったか、あるいは昨今の娯楽映画が全体的に低調のせいか、★一つ増えました(決めてからIMDbに行ったので、決して意図的に増やしたわけではない)。
祭が行われている村で山火事が起き、翌日には村を全滅させた山崩れが報告される。そこから後に大型ロボットと判る怪物モゲラが現れ、地球人側と言うか日本の自衛隊は苦労するが、何とか橋ごと撃滅することに成功する。
火星と木星の間で或る活動を見出して、結果的にこの宇宙人侵略を予見した若手科学者・白石(平田昭彦)は、山崩れと共に行方不明となるが、その後翻訳機を介して地球語(ここでは日本語オンリー)の話せる宇宙人即ち白石の言うミステリアンは富士山裾野の3km範囲を自分達の居住地区とし、かつ、地球の女性と交配を認めさせてくれと、通告してくる。ここまでは穏便な要求と見なされ、かつ、TV画面を通じて現れた白石もこれに同調する。
しかし、彼の友人である渥美(佐原健二)や、他の科学者・軍人たちは同意せず、地球文明の遥か先を行くミステリアンに適う兵器もありそうもなく、知恵を絞らざるを得ない。かくして世界の戦略家たちが集まって会議を開き、熱線をはじくマーカライトとそれらを使った戦闘機や熱線砲マーカライトファープを投入して、攻撃を仕掛ける。
一見「地球の静止する日」の宇宙人の如き平和的存在と思わせておくというミステリアンの狡賢さがなかなか面白いが、上映時間の短さもあってか、地球人は白石を除いて妙に好戦的である。その代わり宇宙人に反戦思想を繰り出させ、地球側は防衛の為に戦うという自衛隊の目的そのままの行動を取らせて、帳尻を合わせている。
この辺りの強引さに少々苦笑が洩れるが、東宝特撮映画初のカラー映画で、巨大ロボットのモゲラやマーカライトファープなど兵器群、あるいは火災や洪水などSFX(円谷英二が特撮監督)は現在の目には貧弱ながら、大いに楽しめる。カメラを一切使わない事実上のアニメであるVFXと比べても大して意味はない。
スプートニク成功の直後に作られた映画なので、宇宙空間に関する知識もかなり正確だ。ただ、宇宙人の造形は人間そのもので甚だつまらない。尤も、英米映画のエイリアンが大体において高等知能を持つ生物としては不自然すぎる(脳を大きくするには二足歩行は必要で、多かれ少なかれ人類のような格好にはなる)ので、どっちもどっちか。
天文台長(志村喬)に永遠に彷徨する運命と言われたミステリアンがイスラエルに見えて来た。
イスラエルの方がミステリアンより悪のように感じさえするが、エイリアンと関係することを即拒否する発言をする白石の妹(白川由美)は、相手が人類であれば大きな民族差別発言だな、とニヤニヤしながら画面を眺めていた。
アジアプロ野球チャンピオンシップで、日本が勝ちました。同じ戦いならスポーツの方が良いね。
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