映画評「シャイロックの子供たち」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・本木克英
重要なネタバレあり。鑑賞予定の方は本文を読まない方が無難。

売れっ子池井戸潤の経済小説の映画化。銀行を舞台にしたミステリー・サスペンスで、半沢直樹シリーズではないが、 “倍返し” という言葉が出て来る。テレビ朝日系列の映画。
 因みに、WOWOWが初放映した11月25日午後8時、テレビ朝日の番組で池上彰がユダヤ人について解説する際に「ヴェニスの商人」(登場人物の一人が守銭奴シャイロック)が出て来るという偶然があった。

大手銀行の小支店。
 やり手銀行マン佐藤隆太が、前の支店で取引のあった実業家・橋爪功の良からぬ筋の10億円融資を稟議に上げる羽目になる。社長が失踪した不動産業者の名を騙ったインチキだが、幸か不幸か支店長・柳葉敏郎はそれを通す。
 係長阿部サダヲは、顧客となった財産家・柄本明の不良不動産に関する相談に難儀する。
 佐藤は、案の定首が回らぬと言い出した橋爪の肩代わりの為に他の顧客の為に用意された金額のうち100万円を融資の返金に当てる。これで被害を受けたのは真面目な窓口行員の上戸彩で、上司の阿部はこれをスマートに処理する。
 やがて露見した10億円融資の失敗が沙汰されることになるが、検査員の佐々木蔵之介はそれより100万事件に目を付ける。しかし、柳葉に旧悪を知られている佐々木は大目に見るしかない。
 この経緯を怪しんだのが阿部で、融資と100万円事件の裏に支店長がいると推理する。

係長を事実上の探偵とするミステリーとしてサスペンスフルであり、部下の玉森裕太や彩ちゃんをうまく使って、裏打ちをしていく辺りなかなか楽しめる。
 そして、実は犠牲者でもあると判った佐藤の為に阿部は柄本の不良不動産を活用する。阿部ちゃんは佐藤の事件について実は他人事とは思えない事情があり、柄本の不良不動産が彼に一応は良い方向に働く。

勧善懲悪をベースに、用意した要素を無駄なく綺麗に回収する脚色が上出来で、退屈させない。逆にきちんとし過ぎてて調子が良すぎる印象が生まれるのが寧ろマイナスに感じられるくらい。退屈はしないが、敢えて大きな画面で観なくても良いお話・画面という気はする。

本作の支店長(の未来予想図)に似て、高校時代からの親友K君は、某大手銀行の本社近くにある大支店の支店長を経て、やはり融資先の会社に出向して社長をついた。その後を聞いていないが、まだ働いているのだろうか?

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