映画評「いつかの君にもわかること」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2020年イタリア=ルーマニア=イギリス合作映画 監督ウベルト・パゾリーニ
ネタバレあり
ウベルト・パゾリーニは名前から予想されるようにイタリアの監督だが、前回鑑賞した「おみおくりの作法」同様に舞台はイギリスだろう(登場人物の話し方から)。
ロシア人の妻に去られ4歳のマイケル(ダニエル・ラモント)を一人で育てる主人公ジョン(ジェームズ・ノートン)は窓拭き業をしているが、余命宣告されて(はっきりそれを示す場面なり言葉なりはない)、里親関連の協会の女性ショーナ(アイリーン・オヒギンズ)を伴って、里親候補を歴訪する。
極端に変な人もいないが、息子を託すには心許ない気がする。しかし、一人信頼できそうな人物に遭遇する。それは、16歳で妊娠して子供を里親に預ける羽目になった後妊娠できない体となったまだ若い女性である。彼女は里子を持つ為に、実子に拘る夫と別れたと言う。この女性の覚悟に主人公の気持ちは決まったのであろう。
幕切れには非常にホッとさせられる。同時に、30代半ばの男性が自分の余命を知りながら、子供を預ける里親を懸命に探す姿には、甚だ切なくたまらない気持ちになる。
前回同様主観ショットは殆どなく、ケン・ローチを彷彿とするセミ・ドキュメンタリーに徹したタッチで推移するが、アップがあるせいで冷たい印象を伴わず、スケッチ風に点出される親子の交流にじーんとしてしまう。
歳を取って老人テーマの映画に心を動かされることが多いが、いとけない子供の出て来る映画もたまらない。
今月は里親が絡む映画が多いのだ。これから出てくるデス。
2020年イタリア=ルーマニア=イギリス合作映画 監督ウベルト・パゾリーニ
ネタバレあり
ウベルト・パゾリーニは名前から予想されるようにイタリアの監督だが、前回鑑賞した「おみおくりの作法」同様に舞台はイギリスだろう(登場人物の話し方から)。
ロシア人の妻に去られ4歳のマイケル(ダニエル・ラモント)を一人で育てる主人公ジョン(ジェームズ・ノートン)は窓拭き業をしているが、余命宣告されて(はっきりそれを示す場面なり言葉なりはない)、里親関連の協会の女性ショーナ(アイリーン・オヒギンズ)を伴って、里親候補を歴訪する。
極端に変な人もいないが、息子を託すには心許ない気がする。しかし、一人信頼できそうな人物に遭遇する。それは、16歳で妊娠して子供を里親に預ける羽目になった後妊娠できない体となったまだ若い女性である。彼女は里子を持つ為に、実子に拘る夫と別れたと言う。この女性の覚悟に主人公の気持ちは決まったのであろう。
幕切れには非常にホッとさせられる。同時に、30代半ばの男性が自分の余命を知りながら、子供を預ける里親を懸命に探す姿には、甚だ切なくたまらない気持ちになる。
前回同様主観ショットは殆どなく、ケン・ローチを彷彿とするセミ・ドキュメンタリーに徹したタッチで推移するが、アップがあるせいで冷たい印象を伴わず、スケッチ風に点出される親子の交流にじーんとしてしまう。
歳を取って老人テーマの映画に心を動かされることが多いが、いとけない子供の出て来る映画もたまらない。
今月は里親が絡む映画が多いのだ。これから出てくるデス。
この記事へのコメント
このパゾリーニ監督には前作同様に泣かされました…
ラストシーンが良いですね。
学生時代の友人で福祉専攻で院までいって福祉関係の公務員を定年までしっかり務めあげた人がいますが、彼女が里親関係の部署にいた頃に聞いた相談者のエピソードには重いものがありました。
ご無沙汰でしたねえ。
僕が何だか悪いことしたのか、と心配しておりました^^
>ラストシーンが良いですね。
僕も素敵だと思いました。
昔のパゾリーニほどではないにしても、今度のパゾリーニも決して直球的に大衆映画というわけでないですが、前作も本作もじーんとさせられますね。
>彼女が里親関係の部署にいた頃に聞いた相談者のエピソード
そういう方の情報が映画にも使われたりするのでしょうね。