映画評「シャザム!~神々の怒り~」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年アメリカ映画 監督デーヴィッド・F・サンドバーグ
ネタバレあり

第1作はスーパーヒーロー“シャザム”のユーモラスな性格設計(矛盾はあるのだが)を好感し、DCコミックス系としては割合楽しんだが、この第2作は前作以上に賑やかではあるものの、全体として子供っぽさを強く感じて画面に集中できず、結果的に退屈感を増幅するという悪循環に入ってしまった。

天空を支えていることで有名なギリシャ神話の神アトラスの娘ヘスペラ(ヘレン・ミレン)と妹カリプソ(ルーシー・リュー)が博物館に現れて人々を石化する事件を起こす。
 魔術師(ジャイモン・フンスー)に奪われた力を取り戻すべく地上(地球という映画サイト等の表記は宇宙人のようで違和感あり)に現れた彼女たちは、魔術師によって全能シャザム(ザッカリー・リーヴァイ)になった少年ビリー(アッシャー・エンジェル)やその里弟フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)らと間で大々的な争いを引き起こす。

というのがアウトラインで、フレディ君が学校で懇意になる転校生の美少女アン(レイチェル・ゼグラー)との関係を交えて青春映画の要素が加えられるが、このアンが案(アン)の定三姉妹の末妹で、人間VS神との対立関係が一筋縄で行かなくなるのが一定の面白味を醸成する。
 が、もはや老人となった僕には余り響かない。

彼女たちが地上に現す怪物たちはギリシャ神話でお馴染みの面々で、先日観た東宝特撮映画「緯度0大作戦」にも出てきたグリフォンを始め、ラドン、ミノタウロスなどが数多く登場するのが、ギリシャ神話に詳しい人にはお楽しみ。
 大谷ならぬユニコーンを味方につけたシャザム側はこれに乗って怪物たちに抗し、シャザムは弱気になった姉をも倒したカリプソと決戦を行う。

怪物たちがぞろぞろ出て来るのは絵的に楽しいが、文字通り絵であって、これがCG登場から映画を観て来た老人には気分的にウキウキできない要因にもなり、延々と続くうちに飽きて来る。若い人にはこういう感覚はないでしょうな。

最後はセルフ・パロディーとマーヴェルのアヴェンジャーズを大いに意識して終わる。概して子供っぽいと言わざるを得ない。

古代ギリシャ/ローマや日本は多神教と言われるが、僕はこれに異論がある。日本の色々な神は、キリスト教の天使に近い存在ではないか。彼らを作った本当の神は自然と考えるわけで、神が自然を作ったと考えるキリスト教などとはここが真逆である。

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