映画評「65/シックスティ・ファイブ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年アメリカ=カナダ合作 監督スコット・ベック、ブライアン・ウッズ
ネタバレあり

着想はなかなか面白いSF映画である。

地球時間で6500万年前、とある宇宙の惑星から旅立った宇宙船が、関係者の睡眠中の自動操縦中に隕石群に衝突して、現在我々が地球と呼ぶ惑星に不時着する。生き残ったのは操縦士の一人アダム・ドライヴァーと、異国人の少女アリアナ・グリーンブラットだけである。二人は言葉の通じないなか、崖上に落下した脱出用飛行艇を目指す。

という極めてシンプルな直線型で、6500万年前と地球という組合せを考えれば、ある程度地球の歴史を知っている人なら、巨大隕石の衝突で多くの動植物が滅びた“事件”をモチーフにしたものと察しが付くであろう。

当然、当時我が世の春を謳歌していた恐竜群が二人の行く手を阻むわけで、文明の利器で大半は仕留めるが、そのせいで洞穴の中に閉じ込められたり、悪戦苦闘して時間をかけるうち、巨大隕石が地球に近づいてくるのが目視でも確認されるに至る。
 急げよ、パイロットもといドライヴァー! と、シンプルなサスペンスに、子供に戻ったようにヒヤヒヤする。昨日の「シャザム!~神々の怒り~」より余程スリリングですぞ。

ドラマ的な要素としては、長い旅の間に主人公の病弱な娘クロエ・コールマンの死と、異国少女の両親の死があり、途中から二人の関係は、ご本人たちは恐らく意識していないものの疑似親子的になっていき、母星に帰還後は養父子になるであろう、という余韻を残して終わる。

映画サイトに愚問(失礼!)があった。(主人公が話すのが)何故英語なのか?というものである。
 勘が悪いにも程がある。答えは簡単、観客の大半が英語を解すからである。つまり、あれは “なんちゃって英語” にすぎない。まして6500万年前に人類はいないのだから全く問題がない。人類が出て来ても5000年前のエジプトを舞台にし古代エジプトの人々が英語以外の言語を話しているのなら、宇宙人が英語で(英語を、ではない)喋っていても全く問題なし。映画の中で使われる言語は相対的なものだ。
 「スター・ウォーズ」だって英語を使っているのに、あのシリーズにそんな野暮な疑問を呈した人は記憶にない。寧ろ問題なのはミルズという英国人みたいな名前である。外観も地球人にあそこまでそっくりなのは変だが、突っ込むのは野暮。

1965年を舞台にした青春映画かと思いましたよ(本当の話)。

この記事へのコメント