映画評「襲撃 BURNING DOG」

☆☆★(5点/10点満点中)
1991年日本映画 監督・崔洋一
ネタバレあり

崔洋一監督の東映Vシネマというのがちと珍しい。

東京で強盗事件を起こしたグループが仲間割れし、生き残った又野誠治は沖縄に逃げ、やがてかつての強盗仲間の内藤剛志と再会する。内藤は米軍基地のゴミ回収をして一応堅気になったふりをしているが、基地の金庫に眠る大金を奪う計画を立て、又野や元仲間の銀行員・六平直政らを巻き込んで実行に移す。
 彼らの周辺にかつての仲間である峰不二子的な立ち位置にいる美人・熊谷真美がいて、色々と絡んでくる。

というお話で、前半は要領を得ない。
 熊谷真美と又野が出会ってからの回想処理もかなり粗雑。ある時代以降の映画は回想も普通の時系列と同様にダイレクトに繋ぐことが多いので、上手く作ってくれないと解りにくいわけだが、この映画の場合、最悪でないものの決して上等とは言えない。

しかし、基地の強盗以降はVシネマ即ちB級映画らしいスピードと良い意味での粗さがあってそれなりに面白くなってくる。

最後の最後、犯罪映画としては大体予想通りに推移する。しかし、この映画で重要なのは、先日観た「Aサインデイズ」(1989年)と同じく舞台が沖縄で、米軍基地が大いに絡んでいることである。
 実際に起きた事件をベースにしていると言うが、実際の強盗団の目的はともかく、本作の作者はアンチ米軍の気分でこしらえたのだろう。汚職軍人が仕留められるのはその証左と言うべし。

くたばれ米軍、てなもんです。

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