映画評「aftersun/アフターサン」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2022年イギリス=アメリカ合作映画 監督シャーロット・ウェルズ
ネタバレあり
瑞々しい映画ではあるが、解りにくいところが多くて、世評程には感心できず。僕は左脳人間なので、こういう限られた情報から映画を把握するには向いていないのである。
11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、夏休みに母と暮らすエディンバラを離れ、離婚により別居している父親カラム(ポール・メスカル)とトルコでヴァケイションを過ごす。
外郭としてはこの様子が綴られるだけで、ソフィが絡んでいる場面は実際の経験である(多くはホームビデオに残っている)が、独りでいる時常に苦しんでいる父親の場面は、この時の年齢と同じくらいになった現在のソフィ(セリア・ロールスン=ホール)が、恐らくこの後死んでしまった父親の苦悩を想像して再現されたものと考えられる。
彼の悩みについては、既に長く離れて暮らしていた少女ソフィに解るわけがなく、多分ヴァケイションの後に海に飛び込んで亡くなった父親からその答えを得ることもできない。大人の苦しみが少しは解るようになったであろうソフィは、悩みを抱える父親の助けにならなかったことに忸怩たるものを覚えている。そんな内容なのであろうと思う。
クイーンとデーヴィッド・ボウイーが組んで作った「アンダー・プレッシャー」をバックにしたクラブのシーンが感動的なのは、そんな後悔に苛まれる現在のソフィが父親を抱きしめるという幻想と、11歳の時の彼女が父親と実際に踊るシーンが混ざりあっているからである。
そして「アンダー・プレッシャー」では、はからずも、“最後のダンス” と歌われている。
明確に理解できなくても、鑑賞者の多くは、ちゃんと潜在的に把握しているのだ。こういう映画を観る方々は多く分析する前に内容を直観している。
空港で別れたところでストップモーションし、カメラが右にパンしていくと現在のソフィがカムコーダーを手に持ってボーっとしてい、さらに右にパンすると白い壁を境目にして30歳の父親がやはりカムコーダーを持って立っている、という凝りに凝って興味深いシークエンスとなっている。
ここの正確な意味は掴みがたいが、作者のシャーロット・ウェルズ監督と言うか、その思いが投影されたソフィの心象風景であろうと思う。
日焼け (aftersun) のようにひりひりします。
2022年イギリス=アメリカ合作映画 監督シャーロット・ウェルズ
ネタバレあり
瑞々しい映画ではあるが、解りにくいところが多くて、世評程には感心できず。僕は左脳人間なので、こういう限られた情報から映画を把握するには向いていないのである。
11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、夏休みに母と暮らすエディンバラを離れ、離婚により別居している父親カラム(ポール・メスカル)とトルコでヴァケイションを過ごす。
外郭としてはこの様子が綴られるだけで、ソフィが絡んでいる場面は実際の経験である(多くはホームビデオに残っている)が、独りでいる時常に苦しんでいる父親の場面は、この時の年齢と同じくらいになった現在のソフィ(セリア・ロールスン=ホール)が、恐らくこの後死んでしまった父親の苦悩を想像して再現されたものと考えられる。
彼の悩みについては、既に長く離れて暮らしていた少女ソフィに解るわけがなく、多分ヴァケイションの後に海に飛び込んで亡くなった父親からその答えを得ることもできない。大人の苦しみが少しは解るようになったであろうソフィは、悩みを抱える父親の助けにならなかったことに忸怩たるものを覚えている。そんな内容なのであろうと思う。
クイーンとデーヴィッド・ボウイーが組んで作った「アンダー・プレッシャー」をバックにしたクラブのシーンが感動的なのは、そんな後悔に苛まれる現在のソフィが父親を抱きしめるという幻想と、11歳の時の彼女が父親と実際に踊るシーンが混ざりあっているからである。
そして「アンダー・プレッシャー」では、はからずも、“最後のダンス” と歌われている。
明確に理解できなくても、鑑賞者の多くは、ちゃんと潜在的に把握しているのだ。こういう映画を観る方々は多く分析する前に内容を直観している。
空港で別れたところでストップモーションし、カメラが右にパンしていくと現在のソフィがカムコーダーを手に持ってボーっとしてい、さらに右にパンすると白い壁を境目にして30歳の父親がやはりカムコーダーを持って立っている、という凝りに凝って興味深いシークエンスとなっている。
ここの正確な意味は掴みがたいが、作者のシャーロット・ウェルズ監督と言うか、その思いが投影されたソフィの心象風景であろうと思う。
日焼け (aftersun) のようにひりひりします。
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