映画評「BLUE GIANT」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・立川譲
ネタバレあり

石塚真一なる漫画家の同名人気コミックのアニメ映画化。僕のようにコミックに疎い人は、タイトルからはよく解らないかもしれないが、ジャズ演奏にのめりこんだ少年を主人公にした青春ドラマである。

仙台の18歳宮本大(声:山田裕貴)が高校を卒業するや否や、テナーサックスを抱えて上京する。チャンスを伺うべくジャズ・バーを訪れるが、そこは現在生演奏は休止していて、ママから別のジャズ・バーを紹介される。
 そこでピアノを弾く同じく18歳の沢辺雪祈(声:間宮祥太郎)に魅せられ、彼にバンドを組もうと提案する。練習に単純なリズム演奏を依頼した高校時代からの友人玉田俊二(声:岡山天音)を結果的に仲間に加えることになり、基礎の基礎から叩き込む。
 謙遜の精神を持たぬ雪祈の強引な手法が奏功して村興し絡みのフェスで注目され、遂には一流ジャズ・クラブを目指すことにする。

最後に事故のような障壁が立ち塞がらなければ良いがなと思って観ていたら、主人公の代りに雪祈が交通事故で重傷を負い、肝心のクラブでの晴れ舞台を二人で演奏する羽目になる、云々という作り物めいた流れとなって少々がっかりさせられる。

主人公はジャズに対してテクニックではなく熱量で勝負する芸術哲学を確立しているので彼の成長譚ではなく、その代わり技術で勝つことのみを目指す為演奏は型に落ち、他人に対する謙遜も知らない雪祈の成長譚が扱われるのも少々肩透かしであろう。

しかし、劇中で披露される演奏は素晴らしい。☆一つはそれにより追加されたと知られよ。少年たちが名乗るJASSの演奏は、馬場智章=テナーサックス、ピアノは音楽監修も兼ねる上原ひろみ=ピアノ、石若駿=ドラムスによる。

画面は、2Dや3DCGなど色々なタイプのタッチが混在するが、モーション・キャプチャーも大量に使っているようで、そのショット群に関してはどうも馴染めない。

主人公の演奏のエネルギーには「セッション」に通底するものがあるね。

この記事へのコメント

モカ
2024年02月13日 11:32
こんにちは。

元日に来ていた息子が夫に本作を「観たかぁ? 面白いでぇ」 と勧めておりました。
「何やそれ?」と夫が寝ぼけた対応をしているのを見かねた出しゃばりモカさんが、
「そんなんコルトレーンに決まってるわ、ブルートレインとジャイアントステップやんか!」と言い出して、結局息子がTVのアマプラでアニメ画面を出してきて一件落着…と思って各自うたた寝したりゲームをしたり蜜柑を食ったりしておりましたら何やら家がユラユラしだしてTVの画面も緊急地震速報に変わったのでした。

アニメは疲れるのでほとんど観ないのですがこれは面白そうですね。
オカピー
2024年02月13日 18:44
モカさん、こんにちは。

>アニメは疲れるのでほとんど観ないのですがこれは面白そうですね。

お話より、演奏が良かったです。
僕はジャズの素人なので、自信を持っては言えないのですが^^;

モカ
2024年02月25日 08:50
こんにちは。

昨夜観ました。
話の流れはツッコミどころ数々ありますが、21世紀の日本の若者の「バンドやろうぜ!」が、ギターもボーカルのなしで、しかもジャズバンドって所が新鮮なんでしょうね。
冒頭に流れるコルトレーンのインプレッションズを聴いて,やっぱりね〜良くも悪くも日本ではジャズ(サックス)と言えばコルトレーンか…と。

上原ひろみのピアノは以前からyoutube で聴いていましたが、この映画用の演奏は18歳の出来る子レベルに抑えているのかかなり大人しいですね。

お洒落なカフェやバーのBGMになってしまった感のある日本のジャズですが、こんなに訳のわからん熱量を持った音楽だとアニメ世代にも知ってもらえたとしたら結構な事ですね。エンドクレジットで席を立ち風呂に行った夫にその後のエピソードを教えたら「そらニューヨークへ行かんなあかんわ」と申しておりました。(笑)

モカ
2024年02月25日 10:01
追記

空港の掲示板?に「ミュンヘン」とあったのですが、あれ?っと思ったものの、たまたまだろう、もちろん行き先はニューヨークだと決めつけていましたが、今ちょっと気になってコミックの方を検索したらミュンヘンに行くようでした。まだまだ続きがあるみたいです。
せっかくの親父ギャグ入浴ネタが思い違いでした。😥

やっぱり映画はかなり端折ってるんでしょうね。あんな簡単にドラムが叩けるようになるかっ… 天才少年やん、ねぇ…思いません? 
オカピー
2024年02月25日 17:15
モカさん、こんにちは。

>話の流れはツッコミどころ数々あります

そうですね。
やはり漫画かな、と思いました。

>冒頭に流れるコルトレーンのインプレッションズ

コルトレーンは代表的なところを何枚か持っていて、結構好きですが、これが入っているアルバムは持っていない。解らなかったなあ。
モカさん、何だかんだ言いながら、コルトレーンへの興味はなかなかのものではないですか?

>上原ひろみのピアノ
>この映画用の演奏は18歳の出来る子レベルに抑えているのかかなり大人しいですね。

僕は名前しか知りませんでした。
サックスを目立たせるという狙いもあるかもですね。

>訳のわからん熱量を持った音楽だとアニメ世代にも知ってもらえたとしたら結構な事

そうですねん。
今はコンピューターで音楽を作り、打ち込みで演奏などという時代ですからね。

>せっかくの親父ギャグ入浴ネタが思い違いでした。

いやいや、親父ギャグも家で連発している僕には、大いに面白かったです。^^v

>あんな簡単にドラムが叩けるようになるかっ… 天才少年やん、ねぇ…思いません?

原作のコミックは長そうですから、相当端折っているのでしょうね。
モカ
2024年02月25日 22:51
こんばんは。

「IMPRESSIONS」
東京行きの列車内でアイフォンで音楽を聴く場面でアイフォンの画面にタイトルが出ていました。
私はサックスのテナーとアルトの音の区別がつきにくい耳でして、この時もテナーかアルトかと聞こうとして夫に「これは何?」と聞いたら「コルトレーンの音やなぁ」ということで、そういえばインプレッションズってアルバムを見た覚えがあるな、となったのです。
チャーリーパーカーなら7割ぐらいは当たるかもしれませんが、コルトレーンは当てずっぽうで2割5分くらいの打率です。

アニメ内のジャズの店が懐かしの60〜70年代風でしたが、店の名前を変にもじっててダサかったですね。
普通にBLUE NOTE, COTTON CLUB, TAKE 5 でいいのに。
懐しい… 大音響で流れるコルトレーンに煙草の煙と苦い珈琲…遠い目(笑)
オカピー
2024年02月26日 08:12
モカさん、こんにちは。

>東京行きの列車内でアイフォンで音楽を聴く場面でアイフォンの画面にタイトルが出ていました。

ああ、そう言えば。
思い出しました。

>私はサックスのテナーとアルトの音の区別がつきにくい耳でして

僕も余り識別できませんが、コルトレーンは吹き方で何となく解ることが多い気がします(あくまで気がするだけです)。打率は5割?

>インプレッションズってアルバム

これはオリジナル・アルバムではなく、同時代的に発売された編集盤らしい。ジャズは“ベスト”とか”グレイテスト”とか銘打つことが少ないので、解りにくいです。

>大音響で流れるコルトレーンに煙草の煙と苦い珈琲…遠い目(笑)

大学生活は東京。もう少し早く生まれていれば、そういう感じでジャズを聴いたかもです。