映画評「赤毛」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1969年日本映画 監督・岡本喜八
ネタバレあり

WOWOWの岡本喜八監督特集第2弾も時代劇で、同じく再鑑賞。

江戸末期。江戸に進軍する官軍(維新軍)に加わった町民出身の三船敏郎が、故郷の宿場町に近づくと、隊長・田村高廣から隊長の印である赤毛の冠を拝借して故郷に凱旋、強い者には尻尾を振る代官・伊藤雄之助や岡っ引きを服従させると遂には五百両もの小判を手に入れて、配下の寺田農たちに上官である本当の隊長に届けさせるが、最初からの企みで赤報隊を偽官軍とする官軍本隊の指揮官・神山繫によって倒される。本隊はやがて三船のいる宿場町にやって来て、三船隊長を神のように崇めるようになっていた町人と対峙する。

という、史劇をベースにしたお話で、テーマは葵(武家政治)も菊(朝廷政治)も下流にいる庶民には同じことというシニカルな結論をもって終了する。

昨日の「」と違って岡本監督らしいコミカルさが爆発し、下級管理職の武士階級のドタバタぶりに大いに笑わせて貰える。
 とは言え、三船敏郎は「七人の侍」(1954年)の菊千代がタイムマシンに乗って数百年後の江戸末期にやって来た感じで、とりわけ日本の歴史を知らない外国人の目には黒澤時代劇の亜流に映って終わってしまうのではないか。それでも IMDb の評価は6.9だから健闘しているような気がする。

三船と恋人の岩下志麻との感情のすれ違いが二人とも別々に官軍に殺されてしまうという悲劇に繋がるが、 どうも終盤は作り過ぎという印象が強く、 “ええじゃないか” で終わる幕切れも、初鑑賞時のように素直に感動できなかった。

二番煎じでも“ええじゃないか”。

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