映画評「足ながおじさん」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1955年アメリカ映画 監督ジーン・ネグレスコ
ネタバレあり
このタイトルを持つジーン・ウェブスターの有名な小説は中学時代に読んだ。
このミュージカル映画版は高校か大学時代に吹替の不完全版を一度、衛星放送で完全版を一度観ている。多分ハイビジョンで観るのは今回が初めてと思う。去年のNHK-BSの放映を録画しておいた。どちらかと言えば近年のNHKではファイン・プレーの部類である。
匿名で若い学生などを支援する人を〝あしながおじさん”と呼ぶくらい日本でも定着したお話。
原作では支援される少女は米国人だが、 このミュージカル映画版では〝あしながおじさん” と呼ばれることになる大富豪ジャーヴィス・ペンデルトン(フレッド・アステア)が使節として出かけたフランスで見かけた孤児院少女という設定に変えられている。ヒロインのジュリー(原作ではジュディ)に扮するのがフランス出身のレスリー・キャロンということが理由であろう。
彼女を支援したい気持ちに抗しがたいペンデルトンは、在仏大使との約束で正体を隠して学費等を支援する。申し訳程度の条件は、彼女が月に一度学園生活などを手紙で報告すること。しかし、その思いが恋心に近いところまで上昇した彼女は手紙に返信がないことを不満に思う。
それを不憫に思った秘書たちが彼に報告したことから、彼は学校創設者の孫として様子を見に行き、さらに学校から離れたニューヨークに招いたりもする。かくして彼女は正体の解らない支援者より初老の紳士であるペンデルトンに傾いていく。
すっかり忘れていたが、シンデレラ・ストーリーのロマンスだったのだなあ。
しかし、本作はお話を3割くらいにして残りはミュージカルとしての部分を評価すべき作品。
白眉は、ジュリーがペンデルトンの赴く世界各地を幻想の中で旅する場面。華麗な書割やドアを超えると衣装まで変わるという鮮やかな演出で、単独で踊るレスリーのモダンバレエが実に素晴らしい。ここを冗長などと言う人はミュージカル好きではありません。
次に印象深いのは彼女が支援者を次々と想像するシークエンスで、こちらではアステアがきちんと踊る。
学園で二人が踊る場面が次ぐ。この時に披露される踊りをスルーフットと言うらしい。
アイデア単独としては、車が走るパリの夜景と二人のダンスをオーヴァーラップさせたナンバーが気に入った。
最初の見せ場は、ドラム・スティックを小道具にしたアステアらしいダンス。ここから既に大いに乗せられてしまう。
最近のハリウッドのメジャー映画が映画ファン向けとは言えない作品ばかりということもあって、若い時よりぐっと楽しめたです。
大谷が移籍したおかげで韓国におけるドジャーズのエキシビジョンを地上波放映中。昨年大谷が小学校向けにグローヴを送ったことは、 謂わば "あしながおじさん" 的ですね。
1955年アメリカ映画 監督ジーン・ネグレスコ
ネタバレあり
このタイトルを持つジーン・ウェブスターの有名な小説は中学時代に読んだ。
このミュージカル映画版は高校か大学時代に吹替の不完全版を一度、衛星放送で完全版を一度観ている。多分ハイビジョンで観るのは今回が初めてと思う。去年のNHK-BSの放映を録画しておいた。どちらかと言えば近年のNHKではファイン・プレーの部類である。
匿名で若い学生などを支援する人を〝あしながおじさん”と呼ぶくらい日本でも定着したお話。
原作では支援される少女は米国人だが、 このミュージカル映画版では〝あしながおじさん” と呼ばれることになる大富豪ジャーヴィス・ペンデルトン(フレッド・アステア)が使節として出かけたフランスで見かけた孤児院少女という設定に変えられている。ヒロインのジュリー(原作ではジュディ)に扮するのがフランス出身のレスリー・キャロンということが理由であろう。
彼女を支援したい気持ちに抗しがたいペンデルトンは、在仏大使との約束で正体を隠して学費等を支援する。申し訳程度の条件は、彼女が月に一度学園生活などを手紙で報告すること。しかし、その思いが恋心に近いところまで上昇した彼女は手紙に返信がないことを不満に思う。
それを不憫に思った秘書たちが彼に報告したことから、彼は学校創設者の孫として様子を見に行き、さらに学校から離れたニューヨークに招いたりもする。かくして彼女は正体の解らない支援者より初老の紳士であるペンデルトンに傾いていく。
すっかり忘れていたが、シンデレラ・ストーリーのロマンスだったのだなあ。
しかし、本作はお話を3割くらいにして残りはミュージカルとしての部分を評価すべき作品。
白眉は、ジュリーがペンデルトンの赴く世界各地を幻想の中で旅する場面。華麗な書割やドアを超えると衣装まで変わるという鮮やかな演出で、単独で踊るレスリーのモダンバレエが実に素晴らしい。ここを冗長などと言う人はミュージカル好きではありません。
次に印象深いのは彼女が支援者を次々と想像するシークエンスで、こちらではアステアがきちんと踊る。
学園で二人が踊る場面が次ぐ。この時に披露される踊りをスルーフットと言うらしい。
アイデア単独としては、車が走るパリの夜景と二人のダンスをオーヴァーラップさせたナンバーが気に入った。
最初の見せ場は、ドラム・スティックを小道具にしたアステアらしいダンス。ここから既に大いに乗せられてしまう。
最近のハリウッドのメジャー映画が映画ファン向けとは言えない作品ばかりということもあって、若い時よりぐっと楽しめたです。
大谷が移籍したおかげで韓国におけるドジャーズのエキシビジョンを地上波放映中。昨年大谷が小学校向けにグローヴを送ったことは、 謂わば "あしながおじさん" 的ですね。
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