映画評「ジュリア (s)」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2022年フランス映画 監督オリヴィエ・トレネ
ネタバレあり
電車に間に合うか間に合わなかったかによって分岐する、一人の女性の二つの運命が並行して描かれる「スライディング・ドア」(1998年)が嚆矢となるであろう "What if" もののヴァリエーション。その複雑な作り直しのような印象もある。先日の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と重なるところもある。
フランスのピアノ工房の家に生まれ、まず、一流クラシック・ピアニストを嘱望されているジュリア(ルー・ド・ラージュ)が、1989年に壁が崩されたベルリンに行けた場合と、舎監に止められた行けなかった場合。行けなかった場合でも、書店でポール(ラファエル・ペルソナ)と出会うかどうかで運命が分かれ、ポールと出会った場合でもその後交通事故に逢うかどうかで運命が変わる。
ピアニストとして大成功するジュリアがいるかと思えば、音楽教師になる彼女もい、料理店で働く彼女もいる。夫や恋人とになる男性も勿論違う。
しかし、ベルリンに残った彼女は、そこでピアノ工房を開くことになり、妻=彼女にとっては母=(イザベル・カレ)を癌で失った後工房を閉じることを決意した父親(グレゴリー・ガドボワ)をベルリンに呼ぶ。音楽教師の彼女は後に大指揮者となる退校寸前の生徒の才能に気付くなどして数多の生徒に80歳の誕生日を祝福されることになる。
このお話は、この尊敬される元音楽教師のシ-クエンスが実話で、残りは彼女の妄想と理解するのが妥当だろう。
What if の三段目くらいからどれがどれやら解りにくくなるのは難点で、それに加えて、 着想的にほぼ同じの「スライディング・ドア」の洗礼を受け、かつそれを本格SF的に展開した「エブリシング・・・」を観た直後なので “面白いものを見たなあ” という感じにならないのは惜しいが、逆に派手さに走らずヒロインの心情に迫り、木目細やかに作られているのは好印象。
哲学的には、一般的に個人の決断が運命を決めるとされるが、運命が個人の決断を決めているのかもしれない、と作者が言っているところが興味深い。それで評価を上げるわけでもないですが。
通訳の賭博依存症に巻き込まれた形の大谷選手の運命は?
2022年フランス映画 監督オリヴィエ・トレネ
ネタバレあり
電車に間に合うか間に合わなかったかによって分岐する、一人の女性の二つの運命が並行して描かれる「スライディング・ドア」(1998年)が嚆矢となるであろう "What if" もののヴァリエーション。その複雑な作り直しのような印象もある。先日の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と重なるところもある。
フランスのピアノ工房の家に生まれ、まず、一流クラシック・ピアニストを嘱望されているジュリア(ルー・ド・ラージュ)が、1989年に壁が崩されたベルリンに行けた場合と、舎監に止められた行けなかった場合。行けなかった場合でも、書店でポール(ラファエル・ペルソナ)と出会うかどうかで運命が分かれ、ポールと出会った場合でもその後交通事故に逢うかどうかで運命が変わる。
ピアニストとして大成功するジュリアがいるかと思えば、音楽教師になる彼女もい、料理店で働く彼女もいる。夫や恋人とになる男性も勿論違う。
しかし、ベルリンに残った彼女は、そこでピアノ工房を開くことになり、妻=彼女にとっては母=(イザベル・カレ)を癌で失った後工房を閉じることを決意した父親(グレゴリー・ガドボワ)をベルリンに呼ぶ。音楽教師の彼女は後に大指揮者となる退校寸前の生徒の才能に気付くなどして数多の生徒に80歳の誕生日を祝福されることになる。
このお話は、この尊敬される元音楽教師のシ-クエンスが実話で、残りは彼女の妄想と理解するのが妥当だろう。
What if の三段目くらいからどれがどれやら解りにくくなるのは難点で、それに加えて、 着想的にほぼ同じの「スライディング・ドア」の洗礼を受け、かつそれを本格SF的に展開した「エブリシング・・・」を観た直後なので “面白いものを見たなあ” という感じにならないのは惜しいが、逆に派手さに走らずヒロインの心情に迫り、木目細やかに作られているのは好印象。
哲学的には、一般的に個人の決断が運命を決めるとされるが、運命が個人の決断を決めているのかもしれない、と作者が言っているところが興味深い。それで評価を上げるわけでもないですが。
通訳の賭博依存症に巻き込まれた形の大谷選手の運命は?
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