映画評「忌怪島/きかいじま」
☆☆★(5点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・清水崇
ネタバレあり
村シリーズを作って来た清水崇監督が今度は島に乗り出した。島シリーズになっていくだろうか?
ホラー映画は右脳的に見た方が楽しめるようだが、左脳的にはダメなケースが多い。ところが、本作は左脳人間には結構面白い作品になっていて、清水監督の作品で一番話らしい話になっている。翻すとホラー映画を楽しめる右脳人間には逆の結果が出るのではないか。
奄美諸島の島が舞台らしい。人間の感情や記憶をデータ化してそれを他者と共有するという作業が、喜界島でも奇怪島でもない忌怪島で行われている。
そこへ招かれた脳科学の天才・西畑大吾が、招いた伊藤歩が亡くなっていることを知り、またこの作業に絡んで死んだ中年男性の娘・山本美月と関わり、ユタ(奄美・沖縄地方のシャーマン)と交渉を持つうち、同地に伝わる悲劇の女主人公がこの作業の為に蘇り、村を襲い始める。
この女性の霊に憑かれて村八分になった女性の息子で今は老人となった笹野高史がそれに乗じて村人に復讐しようとする。
データが生み出すヴァーチャル・リアリティとオカルトを混合させたハイブリッドぶりが興味深い。
VRという空間と(異世界という意味で共通性のある)冥界とが混然一体となることで、現実との接点が生まれ、霊魂が現実世界に出て来たり、逆に霊に主人公たちがVRであり冥界である世界に引っ張り込まれるというアイデアはホラー映画よりSF映画として捨てがたいアイデアである。
終盤は村シリーズと似たり寄ったりながら、怨念の恐怖よりそちらに引っ張られて楽しんだ。わけの解らないところも多いが、なかなか行ける。そうした不明点が島シリーズほど気にならない。論理的にもやもやするという意見が多いが、寧ろ論理的なホラーを見なれていないからかもしれない。
但し、 一件落着した後 “ところが” となるホラー映画の悪い癖は買わない。 もう古臭い手法でしかないし、一昨日の「ヴァチカンのエクソシスト」のようにすっきり終わった方が寧ろ本編の強さが印象付けられる。
脳科学者役の西畑大吾は一向にそれらしく見えない。配役の顔触れから推すに、ヤング・アダルト映画なのだろう。
ほら(ホラー)見たことか。
2023年日本映画 監督・清水崇
ネタバレあり
村シリーズを作って来た清水崇監督が今度は島に乗り出した。島シリーズになっていくだろうか?
ホラー映画は右脳的に見た方が楽しめるようだが、左脳的にはダメなケースが多い。ところが、本作は左脳人間には結構面白い作品になっていて、清水監督の作品で一番話らしい話になっている。翻すとホラー映画を楽しめる右脳人間には逆の結果が出るのではないか。
奄美諸島の島が舞台らしい。人間の感情や記憶をデータ化してそれを他者と共有するという作業が、喜界島でも奇怪島でもない忌怪島で行われている。
そこへ招かれた脳科学の天才・西畑大吾が、招いた伊藤歩が亡くなっていることを知り、またこの作業に絡んで死んだ中年男性の娘・山本美月と関わり、ユタ(奄美・沖縄地方のシャーマン)と交渉を持つうち、同地に伝わる悲劇の女主人公がこの作業の為に蘇り、村を襲い始める。
この女性の霊に憑かれて村八分になった女性の息子で今は老人となった笹野高史がそれに乗じて村人に復讐しようとする。
データが生み出すヴァーチャル・リアリティとオカルトを混合させたハイブリッドぶりが興味深い。
VRという空間と(異世界という意味で共通性のある)冥界とが混然一体となることで、現実との接点が生まれ、霊魂が現実世界に出て来たり、逆に霊に主人公たちがVRであり冥界である世界に引っ張り込まれるというアイデアはホラー映画よりSF映画として捨てがたいアイデアである。
終盤は村シリーズと似たり寄ったりながら、怨念の恐怖よりそちらに引っ張られて楽しんだ。わけの解らないところも多いが、なかなか行ける。そうした不明点が島シリーズほど気にならない。論理的にもやもやするという意見が多いが、寧ろ論理的なホラーを見なれていないからかもしれない。
但し、 一件落着した後 “ところが” となるホラー映画の悪い癖は買わない。 もう古臭い手法でしかないし、一昨日の「ヴァチカンのエクソシスト」のようにすっきり終わった方が寧ろ本編の強さが印象付けられる。
脳科学者役の西畑大吾は一向にそれらしく見えない。配役の顔触れから推すに、ヤング・アダルト映画なのだろう。
ほら(ホラー)見たことか。
この記事へのコメント