映画評「ジョン・ウィック:コンセクエンス」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年アメリカ=ドイツ合作映画 監督チャド・スタエルスキ
ネタバレあり
シリーズ第1作を観た時、アクションのバラエティーぶりと、それを捉えるショットが細切れでなくかつ引きで構成していることに喜んだ。
基本的にシリーズが進んでもそれは変わっていず、この第4弾ではショットの凄味が大いに増している。良くないのは、作るたびに上映時間が長くなっていることである。
お話はややこしそうでいて、それほど複雑ではない。但し、要領よく書くのは結構難しいかもしれない。
キアヌ・リーヴスのジョン・ウィックが、地下組織 “主席連合” の首領を殺す。
新しい首領グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)は、支配人が彼と関連の深いニューヨークのコンチネンタル・ホテルを潰し、大阪に逃げたウィックを倒すために、シマヅ(真田広之)が支配人を務める大阪コンチネンタル・ホテルを襲う。
彼らは全員仕留められるが、娘を人質に取られて旧友であるウィックを敵に回す羽目になった、盲目の一匹狼ケイン(ドニー・イェン)は、ウィックを逃したこれまた旧友のシマヅを仕留める。彼の娘アキラ(リナ・サワヤマ)は復讐を誓う。
ウィックは侯爵を倒す為、かつて所属したロシア系組織 “ルスカ・ロマ” が恨みを抱く仇を倒して復権し、いよいよ侯爵との対決と相成る。が、侯爵は賞金を出して、最悪でも決闘の定刻に間に合わないように悪計を講ずる。
前述通りアクションは益々華美になっていて、クラブで大衆が踊る中あるいは自動車が交錯する雑踏の中で行われる追跡および殺し合いは凄まじい。
終盤の階段落ちも物凄いことになっているが、ちょっと転がらせ過ぎのような気もするし、僕のように気の短い性格の鑑賞者には、いくら凄くてもそのアクションのシークエンスが一々長すぎるように思う。かくして169分もの長尺になってしまった。
他方、シリーズをずっと監督してきたチャド・スタエルスキという監督のアクションの捉え方はいよいよ感嘆するレベルに到達した。全てがフルショット以上のロング(引き)で、細切れをしないどころが寧ろほぼ長回しと言って良いカット割りである。勿論ここまでの長回しはコンピューター処理(VFX)なしにはできない芸当であるが、切れ目のないアクションは流れるようで頗る美しい。
ここで一般論。何をやっているか碌に解らないと口を酸っぱくして非難してきた細切れ+アップの組合せによるアクション処理は、ここ10年くらいメジャー映画では大分少なくなり、この監督ほど徹底できなくてもぐっと良くなってきた。
かく、僕が映画論的にダメだと言ったことは、大体、映画界も後で僕が言う通りに変えて来ている。僕が優秀なのではなく、映画界がダメすぎたのである。流行しているという理由だけでやって来たダメなことに彼らが遅ればせながら気付くと言う流れである。しかし、ポリ・コレ症候群はそう簡単には治らないだろう。僕がそれを理由に新作メジャー映画を観るのを止めるほうが早いのではないか。
2023年アメリカ=ドイツ合作映画 監督チャド・スタエルスキ
ネタバレあり
シリーズ第1作を観た時、アクションのバラエティーぶりと、それを捉えるショットが細切れでなくかつ引きで構成していることに喜んだ。
基本的にシリーズが進んでもそれは変わっていず、この第4弾ではショットの凄味が大いに増している。良くないのは、作るたびに上映時間が長くなっていることである。
お話はややこしそうでいて、それほど複雑ではない。但し、要領よく書くのは結構難しいかもしれない。
キアヌ・リーヴスのジョン・ウィックが、地下組織 “主席連合” の首領を殺す。
新しい首領グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)は、支配人が彼と関連の深いニューヨークのコンチネンタル・ホテルを潰し、大阪に逃げたウィックを倒すために、シマヅ(真田広之)が支配人を務める大阪コンチネンタル・ホテルを襲う。
彼らは全員仕留められるが、娘を人質に取られて旧友であるウィックを敵に回す羽目になった、盲目の一匹狼ケイン(ドニー・イェン)は、ウィックを逃したこれまた旧友のシマヅを仕留める。彼の娘アキラ(リナ・サワヤマ)は復讐を誓う。
ウィックは侯爵を倒す為、かつて所属したロシア系組織 “ルスカ・ロマ” が恨みを抱く仇を倒して復権し、いよいよ侯爵との対決と相成る。が、侯爵は賞金を出して、最悪でも決闘の定刻に間に合わないように悪計を講ずる。
前述通りアクションは益々華美になっていて、クラブで大衆が踊る中あるいは自動車が交錯する雑踏の中で行われる追跡および殺し合いは凄まじい。
終盤の階段落ちも物凄いことになっているが、ちょっと転がらせ過ぎのような気もするし、僕のように気の短い性格の鑑賞者には、いくら凄くてもそのアクションのシークエンスが一々長すぎるように思う。かくして169分もの長尺になってしまった。
他方、シリーズをずっと監督してきたチャド・スタエルスキという監督のアクションの捉え方はいよいよ感嘆するレベルに到達した。全てがフルショット以上のロング(引き)で、細切れをしないどころが寧ろほぼ長回しと言って良いカット割りである。勿論ここまでの長回しはコンピューター処理(VFX)なしにはできない芸当であるが、切れ目のないアクションは流れるようで頗る美しい。
ここで一般論。何をやっているか碌に解らないと口を酸っぱくして非難してきた細切れ+アップの組合せによるアクション処理は、ここ10年くらいメジャー映画では大分少なくなり、この監督ほど徹底できなくてもぐっと良くなってきた。
かく、僕が映画論的にダメだと言ったことは、大体、映画界も後で僕が言う通りに変えて来ている。僕が優秀なのではなく、映画界がダメすぎたのである。流行しているという理由だけでやって来たダメなことに彼らが遅ればせながら気付くと言う流れである。しかし、ポリ・コレ症候群はそう簡単には治らないだろう。僕がそれを理由に新作メジャー映画を観るのを止めるほうが早いのではないか。
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