映画評「SOUL RED 松田優作」
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・御法川修
ネタバレあり
1989年ハリウッド映画「ブラック・レイン」が公開されて大いに話題になって大して時間も経たないうちに、松田優作の訃報が届いて、吃驚した。9年前のジョン・レノンほどではないにしても信じられない思いがした。
15年前に生誕60周年、逝去20年ということで製作されたこのドキュメンタリーは、その「ブラック・レイン」で松田と共演して親しくなったらしいアンディ・ガルシアのインタビューから始まる。
その後は、時にテーマでまとめつつも、大体編年体で進行する。
インタビュイーは、俳優で香川照之、浅野忠信、仲村トオル、吉永小百合、映画製作で優作と関わったスタッフで森田芳光(監督)、丸山昇一(脚本家)、筒井ともみ(脚本家)、黒澤満(プロデューサー)、仙元誠三(撮影監督)、今村力(美術)、関根忠郎(惹句師=コピーライター)。
長男松田龍平、次男松田翔太が父親から避けることのできない影響を語る。単純に影響を受けた人物としては宮藤官九郎も出て来る。
インタビュー形式ドキュメンタリーとして格別に面白い作り方とは言えないし、映画史的にも特に目新しいことはないものの、インタビュイーの回想談を聞くうちに、優作の誰とも比肩できない俳優としてのカリスマ性と同時に繊細性とが浮かび上がる。とりたてて松田優作ファンとは言えない僕には、凡庸な表現ながらそうとしか整理しようがない。
黙っていれば平凡で、時に可愛らしい俳優とさえ見えるが、喋り出したり、動き出したりすると無類の存在感を示すように僕は思ってきたのを、そこはかとなく彼らの言葉が裏打ちするのである。
しかし、僕が第一に思ったのは、ここに出て来る映画が一々名作に思えて(実際には☆☆★相当の評価しかしていない作品も少なくないのではあるが)、一つ一つ再鑑賞したくなってきた。フィルム時代の映画には低い採点でも今の映画では感じられず、かつ、抗しがたい魅力がある。
統一されて益々映画放映本数が減ったNHK-BSはそれなりに古い映画を出して来るものの、近年再鑑賞したり、ライブラリーに持っている作品ばかり。戦前の作品はともかく、50年代から80年代くらいの作品がもっと見たいが、この手は配信でもなかなかないようである。
2009年日本映画 監督・御法川修
ネタバレあり
1989年ハリウッド映画「ブラック・レイン」が公開されて大いに話題になって大して時間も経たないうちに、松田優作の訃報が届いて、吃驚した。9年前のジョン・レノンほどではないにしても信じられない思いがした。
15年前に生誕60周年、逝去20年ということで製作されたこのドキュメンタリーは、その「ブラック・レイン」で松田と共演して親しくなったらしいアンディ・ガルシアのインタビューから始まる。
その後は、時にテーマでまとめつつも、大体編年体で進行する。
インタビュイーは、俳優で香川照之、浅野忠信、仲村トオル、吉永小百合、映画製作で優作と関わったスタッフで森田芳光(監督)、丸山昇一(脚本家)、筒井ともみ(脚本家)、黒澤満(プロデューサー)、仙元誠三(撮影監督)、今村力(美術)、関根忠郎(惹句師=コピーライター)。
長男松田龍平、次男松田翔太が父親から避けることのできない影響を語る。単純に影響を受けた人物としては宮藤官九郎も出て来る。
インタビュー形式ドキュメンタリーとして格別に面白い作り方とは言えないし、映画史的にも特に目新しいことはないものの、インタビュイーの回想談を聞くうちに、優作の誰とも比肩できない俳優としてのカリスマ性と同時に繊細性とが浮かび上がる。とりたてて松田優作ファンとは言えない僕には、凡庸な表現ながらそうとしか整理しようがない。
黙っていれば平凡で、時に可愛らしい俳優とさえ見えるが、喋り出したり、動き出したりすると無類の存在感を示すように僕は思ってきたのを、そこはかとなく彼らの言葉が裏打ちするのである。
しかし、僕が第一に思ったのは、ここに出て来る映画が一々名作に思えて(実際には☆☆★相当の評価しかしていない作品も少なくないのではあるが)、一つ一つ再鑑賞したくなってきた。フィルム時代の映画には低い採点でも今の映画では感じられず、かつ、抗しがたい魅力がある。
統一されて益々映画放映本数が減ったNHK-BSはそれなりに古い映画を出して来るものの、近年再鑑賞したり、ライブラリーに持っている作品ばかり。戦前の作品はともかく、50年代から80年代くらいの作品がもっと見たいが、この手は配信でもなかなかないようである。
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