映画評「胸に輝く星」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督アンソニー・マン
ネタバレあり
ブログでこのアンソニー・マンの秀作西部劇を取り上げたことはないが、梗概は書いたことがある。ミステリーでしょう?
どういうことか、と言えば、日活アクション「早射ち野郎」(1961年)というのが本作の90%がところをパクった作品で、その映画評において敢えてこの西部劇の梗概を書いて揶揄したわけである。その時書いたのが、以下。
懸賞金の出ている強盗犯と称する死体を携えてある町に現れたヘンリー・フォンダが、若い保安官アンソニー・パーキンズに金を渡すように要求するが、彼は死体が誰か確認できるまでは留保すると言い張る。
怪しい男には泊めてくれるところもなく、偶然知り合った少年の家に泊めて貰えることになる。少年は父を失って母ベッツィ・パーマーと二人暮らしである。一方、保安官には恋人メアリー・ウェブスターがいるが、彼女から危険な職業であると結婚は保留されている。
町にはシェリフの地位を狙っている悪漢ネヴィル・ブランドがいる。彼の姦計に気付いたフォンダは心もとないパーキンズを鍛え、紆余曲折を経て、保安官は遂にブランドを倒す。
前回 “紆余曲折” とした部分には、インディアンの血が混じるならず者兄弟リー・ヴァン・クリーフとピーター・ボールドウィンが、町で記念日があるほどの名医師ジョー・マッキンタイアを前の殺人事件に気付かれたという理由で殺し、その捕縛こそ自分がのし上がるチャンスと考えたブランドがリンチしたがる連中を集めて事実上の殺人に乗り出す、という事件がある。
ヒューマニストのパーキンズは、単独で赴いた方が兄弟を捕えやすいとした元保安官フォンダの指示を受け入れ、実際にはこの中年の元保安官が追い詰めた兄弟を逮捕する。かくして正式な裁判など待てないとするブランドと再び対峙することになるのである。
山岳での対決などマンらしい、構図のかっちりした画面も見どころであるが、やはりフォンダとパーキンズの性格描写をきちんと、しかし、くどくならない程度に適切に見せたことが成功の所以であると思う。真面目で融通が利かないパーキンズが、周囲の “安易に信用するな” という言葉に一時は距離を置こうとするが、フォンダの一々的を射た発言や射撃の腕前にすぐに宗旨替えするというフレキシビリティーを見せる辺りなかなか面白いのである。
フォンダの、妻子を失った過去を述べる辺りの苦渋が滲み出る演技も味わい深い。
フォンダにはこの後有名な俳優になった子供たちと確執があった。映画のようには行かなかったというお話。
1957年アメリカ映画 監督アンソニー・マン
ネタバレあり
ブログでこのアンソニー・マンの秀作西部劇を取り上げたことはないが、梗概は書いたことがある。ミステリーでしょう?
どういうことか、と言えば、日活アクション「早射ち野郎」(1961年)というのが本作の90%がところをパクった作品で、その映画評において敢えてこの西部劇の梗概を書いて揶揄したわけである。その時書いたのが、以下。
懸賞金の出ている強盗犯と称する死体を携えてある町に現れたヘンリー・フォンダが、若い保安官アンソニー・パーキンズに金を渡すように要求するが、彼は死体が誰か確認できるまでは留保すると言い張る。
怪しい男には泊めてくれるところもなく、偶然知り合った少年の家に泊めて貰えることになる。少年は父を失って母ベッツィ・パーマーと二人暮らしである。一方、保安官には恋人メアリー・ウェブスターがいるが、彼女から危険な職業であると結婚は保留されている。
町にはシェリフの地位を狙っている悪漢ネヴィル・ブランドがいる。彼の姦計に気付いたフォンダは心もとないパーキンズを鍛え、紆余曲折を経て、保安官は遂にブランドを倒す。
前回 “紆余曲折” とした部分には、インディアンの血が混じるならず者兄弟リー・ヴァン・クリーフとピーター・ボールドウィンが、町で記念日があるほどの名医師ジョー・マッキンタイアを前の殺人事件に気付かれたという理由で殺し、その捕縛こそ自分がのし上がるチャンスと考えたブランドがリンチしたがる連中を集めて事実上の殺人に乗り出す、という事件がある。
ヒューマニストのパーキンズは、単独で赴いた方が兄弟を捕えやすいとした元保安官フォンダの指示を受け入れ、実際にはこの中年の元保安官が追い詰めた兄弟を逮捕する。かくして正式な裁判など待てないとするブランドと再び対峙することになるのである。
山岳での対決などマンらしい、構図のかっちりした画面も見どころであるが、やはりフォンダとパーキンズの性格描写をきちんと、しかし、くどくならない程度に適切に見せたことが成功の所以であると思う。真面目で融通が利かないパーキンズが、周囲の “安易に信用するな” という言葉に一時は距離を置こうとするが、フォンダの一々的を射た発言や射撃の腕前にすぐに宗旨替えするというフレキシビリティーを見せる辺りなかなか面白いのである。
フォンダの、妻子を失った過去を述べる辺りの苦渋が滲み出る演技も味わい深い。
フォンダにはこの後有名な俳優になった子供たちと確執があった。映画のようには行かなかったというお話。
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