映画評「午前4時にパリの夜は明ける」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2022年フランス映画 監督ミカエル・アース
ネタバレあり
欧米人特にフランス人は討論好き。フランス映画は、1980年代以降、人間劇でも恋愛映画でも口論が多くて、結果的に面倒臭いという印象を以って終わることが多くなったが、本作の登場人物同士の関係は日本人にも程良く、特に大きな起伏のない話を心地良く見続けることができた。本作の一番良いのはそのではないかと思う。
大学生くらいの娘メーガン・ノータムと高校生の息子キト・レイヨン=リチュテルを抱えつつ夫と離婚したシャルロット・ゲンスブールは、生活を維持するために、エマニュエル・ベアールが悩みを聞く深夜のラジオ番組の電話繋ぎ係として雇われる。彼女は、その番組の現場に現れたハイティーン少女ノエ・アビタがホームレス状態と知って家に連れ帰り、暫く置くことにする。息子はこの少女と結ばれるが、その後彼女は姿を消す。
数年後、夜の務めに加え昼間は図書館に勤め始めたシャルロットは利用者の男性ティボー・ヴァンサンと昵懇になり、別の家を見つけようかと考えている頃、すっかり麻薬に苛まれたノエを発見、再び世話をすることをする。彼女を麻薬から立ち直らせ、映画館のもぎりに仕事をつかせた一家はヴァンサンを迎えて新しい生活に入っていく。ノエは家を出る。
大体こんなお話で、挿話が文字通り挿話に終わるスケッチを重ねていく感じの展開ぶりである。勿論スケッチ的な小さな流れも積み重ねればそれなりの流れになっていき、それがヴァンサンとの関係であったりするわけだが、多少ややこしいことが起きても大きな口論シーンに発展させずに次のシークエンスに入っていくというミカエル・アースのタッチはそこはかとなく心地良い。
前回観たアース監督の「アマンダと僕」でエリック・ロメールを想起したが、やはり彼はロメールが好きなようで、本作でも「満月の夜」に主演し完成した後に早世した主演女優パスカル・オジェに言及してオマージュを捧げている。
僕が他の映画作家の映画評でロメールに言及する時に頭をよぎるのは大体「満月の夜」である。
2022年フランス映画 監督ミカエル・アース
ネタバレあり
欧米人特にフランス人は討論好き。フランス映画は、1980年代以降、人間劇でも恋愛映画でも口論が多くて、結果的に面倒臭いという印象を以って終わることが多くなったが、本作の登場人物同士の関係は日本人にも程良く、特に大きな起伏のない話を心地良く見続けることができた。本作の一番良いのはそのではないかと思う。
大学生くらいの娘メーガン・ノータムと高校生の息子キト・レイヨン=リチュテルを抱えつつ夫と離婚したシャルロット・ゲンスブールは、生活を維持するために、エマニュエル・ベアールが悩みを聞く深夜のラジオ番組の電話繋ぎ係として雇われる。彼女は、その番組の現場に現れたハイティーン少女ノエ・アビタがホームレス状態と知って家に連れ帰り、暫く置くことにする。息子はこの少女と結ばれるが、その後彼女は姿を消す。
数年後、夜の務めに加え昼間は図書館に勤め始めたシャルロットは利用者の男性ティボー・ヴァンサンと昵懇になり、別の家を見つけようかと考えている頃、すっかり麻薬に苛まれたノエを発見、再び世話をすることをする。彼女を麻薬から立ち直らせ、映画館のもぎりに仕事をつかせた一家はヴァンサンを迎えて新しい生活に入っていく。ノエは家を出る。
大体こんなお話で、挿話が文字通り挿話に終わるスケッチを重ねていく感じの展開ぶりである。勿論スケッチ的な小さな流れも積み重ねればそれなりの流れになっていき、それがヴァンサンとの関係であったりするわけだが、多少ややこしいことが起きても大きな口論シーンに発展させずに次のシークエンスに入っていくというミカエル・アースのタッチはそこはかとなく心地良い。
前回観たアース監督の「アマンダと僕」でエリック・ロメールを想起したが、やはり彼はロメールが好きなようで、本作でも「満月の夜」に主演し完成した後に早世した主演女優パスカル・オジェに言及してオマージュを捧げている。
僕が他の映画作家の映画評でロメールに言及する時に頭をよぎるのは大体「満月の夜」である。
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