映画評「宇宙探索編集部」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2021年中国映画 監督コン・ダーシャン
ネタバレあり

かつて長いこと年末にビートたけし企画の番組に、超常現象を信じる派と信じない派がバッティングする番組があった。その中で宇宙人が地球に来訪していると主張する韮澤潤一郎氏と否定派中でも物理学者の大槻義彦教授の対決が、最初から勝負になっていない感はあったものの、面白かった。

その韮澤氏のような、【宇宙探索】という専門誌を発行する初老男性タン氏(ヤン・ハオユー)が、辺鄙な地方の少年スン・イートン君(ロイ・ワン=ワン・イートン)から得た情報を確認すべく、その昔彼を信じて大量の望遠鏡を販売用に購入して在庫を大量に抱えてしまった同世代の女性で今は姉さん女房のような立場にあるらしい編集部員チン女史(アイ・リーヤー)らを引き連れて、その場所を目指す。

少し珍しいタイプのロード・ムービーで、この後紆余曲折を経て、実は宇宙人に玉を返す為に彼らを利用して移動するのを目的としたイートン君が彼の眼の前から宇宙に消え去る、というところでSF的なお話は終わり。

いかにもコストがかかっていない感じはあるが、予想されたほどズッコケではないような気はした。その代わり(?)、効果のほどが解りにくいジャンプ・カットの多用が目立ち、寧ろその煩さが気になったと言っておきましょう。

コン・ダーシャンなる若者が大学卒業制作として作ったという。オフビートなSFの形で、宇宙における人間の存在意義を命題に人間劇を作った印象を持つ。
 主人公は、自殺する前に人間の存在意義を訊いて来たという娘に答えられなかったことがずっと引っかかっていたらしい。大体人間は悩みを抱えるとそういう難問を自らに突き付けるのだが、【自分の血もしくはコピーを後に残すこと】というのが生物学的な答えではあるまいか。それでは答えになっていないと言うなかれ。星の誕生やそこで発生する生命の誕生の意味など誰も解らない。何かを残しつつ変わっていくのが種(しゅ)の宿命であり、星もその一つという解釈もあながち間違いではないだろう。

子育てが面倒臭いという理由で子を持たない人が増えているらしい。年を取った時に子供のいないことの自分に与える問題を感じると思うよ。経済的に持てるのであれば持った方が良いと思う。

この記事へのコメント

モカ
2024年04月23日 22:06
こんにちは。

 ☆ 大槻義彦教授
 
昔、息子の中学校に講演かなんかで来られて、ちょうどPTAの役をしていたので役員だけでお話を伺う機会がありました。
ユリゲラーのスプーン曲げが流行っていた頃で、あんなことは誰でも出来ると目の前でやってみせてくださいました。
「でもやり方は秘密です」とか言って教えてもらえませんでしたけど。
気さくで楽しい方でした。
オカピー
2024年04月24日 20:09
モカさん、こんにちは。

> ☆ 大槻義彦教授
>昔、息子の中学校に講演かなんかで来られて、ちょうどPTAの役をしていたので役員だけでお話を伺う機会がありました。

さすが京都ですね。それは関係ないか(笑)