映画評「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2023年アメリカ映画 監督クリストファー・マッカリー
ネタバレあり
シリーズ第7作。「ハリー・ポッター」で流行り始めたシリーズの中の二部作の最初の一編という扱いの作品である。
タイパなどと言って長い作品を敬遠したがる若者らへの対策なのかもしれないが、当然二本にすることで配収が増える。そして、タイパを気にしているのに一部重複するものを見せられるのだから、どこがダイパなのかという気もする。
いずれにしても、年寄にはこういう手法は大迷惑である。後編を観る前に前作の内容を忘れてしまうが、かと言って見直すのは、色々と作品を観たい年寄の本格ファンには無理だ。
今回は、SF映画的には何ということはないかもしれないが、スパイ・アクションとして見た場合は不思議なお話。何が謎かが登場人物の誰にも解らないからである。
AIが支配しかねない今後の社会の恐怖を背後に揺曳させた内容で、 “姿が見えない” が通奏低音もしくはキーワード。主人公もある意味そうした “もの (者・物) ” である。
数作前からIMF=インポッシブル・ミッション・フォース=不可能作戦部隊=の影として活動するしかなくなったイーサン・ハント(トム・クルーズ)やその身内が何も解らないまま、“それ” (後で判明するが、暴走したAI) と関連付けられる二つの "鍵" を追って、 摺り名人の美人グレース(ヘイリー・アトウェル)、MI6上がりのイルサ(レベッカ・ファーガスン)、事件の中心に近そうなホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)と接触する。もう一人パリスという物凄い格闘技を見せるスラブ系美人(ポメ・クレメンティエフ)も絡んで、少々ややこしい。
パリスはどうもこのツールを使って世界の王者に君臨しようとしているガブリエル(イーサイ・モラレス)の部下らしいが、このツールは国家でも争奪戦を繰り広げているらしく、オリエント急行の中でハントは一応の上司に遭遇したりもする。
さらに鍵とは全く関係なくハントを追っている官憲もいて、ややこしさに輪をわける。
但し、人物の相関関係の正しい理解はさほど重要ではなく、随時展開される華美なアクションを楽しませるのが眼目なのは、例によって例の如しと言うべし。
そのアクションは序盤から壮絶なので、どこを代表例に挙げるべきなのか悩むが、個人的には「大脱走」を思い出させるバイク走行と、機関車でのアクションを好みとする立ち場としてクラシックなオリエント急行の一連のアクションを楽しんだ。第1作でも鉄道のアクションがあったはずで、懐かしい感じもする。一両ずつゆっくりと崖下に落ちていく最後のサスペンスはちょっとくどすぎませんか、と文句を付けたくなる感じがするほど。
全体的にも、ご馳走過ぎてげっぷが出るかもしれないですぞ。
アクションしかない、という否定的な意見があるが、大衆映画は大衆のもの。それを観客に楽しませることが出来ているかどうかが問題なのである。格闘映画では退屈する僕も、スパイ・アクションでは退屈することが少ない。見せ方が上手く多様な作品が多いのだ。
2023年アメリカ映画 監督クリストファー・マッカリー
ネタバレあり
シリーズ第7作。「ハリー・ポッター」で流行り始めたシリーズの中の二部作の最初の一編という扱いの作品である。
タイパなどと言って長い作品を敬遠したがる若者らへの対策なのかもしれないが、当然二本にすることで配収が増える。そして、タイパを気にしているのに一部重複するものを見せられるのだから、どこがダイパなのかという気もする。
いずれにしても、年寄にはこういう手法は大迷惑である。後編を観る前に前作の内容を忘れてしまうが、かと言って見直すのは、色々と作品を観たい年寄の本格ファンには無理だ。
今回は、SF映画的には何ということはないかもしれないが、スパイ・アクションとして見た場合は不思議なお話。何が謎かが登場人物の誰にも解らないからである。
AIが支配しかねない今後の社会の恐怖を背後に揺曳させた内容で、 “姿が見えない” が通奏低音もしくはキーワード。主人公もある意味そうした “もの (者・物) ” である。
数作前からIMF=インポッシブル・ミッション・フォース=不可能作戦部隊=の影として活動するしかなくなったイーサン・ハント(トム・クルーズ)やその身内が何も解らないまま、“それ” (後で判明するが、暴走したAI) と関連付けられる二つの "鍵" を追って、 摺り名人の美人グレース(ヘイリー・アトウェル)、MI6上がりのイルサ(レベッカ・ファーガスン)、事件の中心に近そうなホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)と接触する。もう一人パリスという物凄い格闘技を見せるスラブ系美人(ポメ・クレメンティエフ)も絡んで、少々ややこしい。
パリスはどうもこのツールを使って世界の王者に君臨しようとしているガブリエル(イーサイ・モラレス)の部下らしいが、このツールは国家でも争奪戦を繰り広げているらしく、オリエント急行の中でハントは一応の上司に遭遇したりもする。
さらに鍵とは全く関係なくハントを追っている官憲もいて、ややこしさに輪をわける。
但し、人物の相関関係の正しい理解はさほど重要ではなく、随時展開される華美なアクションを楽しませるのが眼目なのは、例によって例の如しと言うべし。
そのアクションは序盤から壮絶なので、どこを代表例に挙げるべきなのか悩むが、個人的には「大脱走」を思い出させるバイク走行と、機関車でのアクションを好みとする立ち場としてクラシックなオリエント急行の一連のアクションを楽しんだ。第1作でも鉄道のアクションがあったはずで、懐かしい感じもする。一両ずつゆっくりと崖下に落ちていく最後のサスペンスはちょっとくどすぎませんか、と文句を付けたくなる感じがするほど。
全体的にも、ご馳走過ぎてげっぷが出るかもしれないですぞ。
アクションしかない、という否定的な意見があるが、大衆映画は大衆のもの。それを観客に楽しませることが出来ているかどうかが問題なのである。格闘映画では退屈する僕も、スパイ・アクションでは退屈することが少ない。見せ方が上手く多様な作品が多いのだ。
この記事へのコメント
とにかく面白かったなーと、それでいいんじゃないかと思います。
>星4つ半つけちゃいまして
そりゃ凄い。
僕と採点への考え方が近いので、その意味はよ~く解りますよ。
僕も新作(劇映画)でこの点はつけていないなあ。ドキュメンタリーは内容重視で、2年に1回くらいは出るかもしれませんけど、ドキュメンタリーは別枠なので。
>とにかく面白かったなーと、それでいいんじゃないかと思います。
アクションしかとか、サスペンスしかとか、というコメントも結構読むのですけど、それが映画の原点ですよ。
それとは違うものを求めるなら、違うジャンルを見れば良いだけ。
はい、ご馳走がすぎるのも善し悪しですかね^^