映画評「殺人遊戯」
☆☆(4点/10点満点中)
1978年日本映画 監督・村川透
ネタバレあり
村川透監督=松田優作主演の“遊戯”または“鳴海昌平”シリーズ第2弾。
お話としては風呂敷を広げ過ぎた感のある第1作より作品スケールにふさわしい内容になっているが、第1作のめちゃくちゃぶりのほうが映画としては楽しめる。同じようにめちゃくちゃならば寧ろ、よりデタラメなほうが良いわけで、☆★に差を付けた。
前回が国家プロジェクトを受注企業の対立であったが、今回は暴力団同士の対立で、殺し屋鳴海昌平(松田)がいなければ、任侠映画である。
5年ぶりに鳴海が逃亡先の海外から帰国、早速、ライバル組織組長花井の殺し屋の狙撃され入院した暴力団組長勝田(佐藤慶)から、花井の殺害依頼を受ける。勝田の子分が勝手に花井の組を襲撃して抗争が本格化する。
鳴海は花井に勝田殺しを申し出るが、結局花井を殺すことになる。しかし勝田は自らの依頼を知らぬと無視し、弟分(阿藤海)を人質に取られ身動きの取れない鳴海を痛めつけるものの、そう簡単にやられる鳴海ではござらん。
「用心棒」の殺し屋版のようなお話になるのかと思わせて、すぐに撤回してしまうので肩すかし。
第1作同様ハードな殺しやアクションだけでなく、色気も絡めて来る。今回は、かつて鳴海が殺した暴力団トップの秘書で殺害現場を目撃し、今は勝田の情婦となっている美沙子(中島ゆたか)が絡む。前作同様に彼女が負傷した鳴海をケアする場面があって苦笑させられるが、彼女との関係はハードボイルド調である。
腐れ縁にもなりかけ、彼女自身が “あの時に殺しておけば良かったのに” と何度か繰り返してはいるものの、勝田一味も全滅した後だけに最終的に彼の取る行動は理解しにくい。
脚本は播磨幸治、佐治乾の二人組に変わっているが、病院の外で彼女と再会した鳴海の台詞が直後と別れ直前とで脈絡が取れない(鳴海のおとぼけと考えられるが曖昧にすぎる)など、このシリーズの脚本家はどうも松田優作の強烈なムードに当てられて調子が狂ってしまうらしい。
「桃尻娘」で有名になった竹田かほり(後に甲斐よしひろと結婚)も花井を襲撃する若い組員の恋人役で出て来るが、余り使いこなせていない感じがする。
松田優作の口跡は、同じ年に作られた第一作とは違って、原田芳雄色が薄い。短い期間に何らかの心境の変化があったか。あるいは監督の指示か?
今回は「人間の証明」のキャッチコピーのパロディーで始まり、途中で鳴海が見たがっていた「野性の証明」の歌(町田義人のものほん)で終わる。後者は大野雄二のセルフ・パロディーと考えるべきだろう。
大学時代に甲斐よしひろ(当時は名前も漢字だったのではないかな)と同姓同名(但し漢字が違う)の同窓生がいましたなあ。
1978年日本映画 監督・村川透
ネタバレあり
村川透監督=松田優作主演の“遊戯”または“鳴海昌平”シリーズ第2弾。
お話としては風呂敷を広げ過ぎた感のある第1作より作品スケールにふさわしい内容になっているが、第1作のめちゃくちゃぶりのほうが映画としては楽しめる。同じようにめちゃくちゃならば寧ろ、よりデタラメなほうが良いわけで、☆★に差を付けた。
前回が国家プロジェクトを受注企業の対立であったが、今回は暴力団同士の対立で、殺し屋鳴海昌平(松田)がいなければ、任侠映画である。
5年ぶりに鳴海が逃亡先の海外から帰国、早速、ライバル組織組長花井の殺し屋の狙撃され入院した暴力団組長勝田(佐藤慶)から、花井の殺害依頼を受ける。勝田の子分が勝手に花井の組を襲撃して抗争が本格化する。
鳴海は花井に勝田殺しを申し出るが、結局花井を殺すことになる。しかし勝田は自らの依頼を知らぬと無視し、弟分(阿藤海)を人質に取られ身動きの取れない鳴海を痛めつけるものの、そう簡単にやられる鳴海ではござらん。
「用心棒」の殺し屋版のようなお話になるのかと思わせて、すぐに撤回してしまうので肩すかし。
第1作同様ハードな殺しやアクションだけでなく、色気も絡めて来る。今回は、かつて鳴海が殺した暴力団トップの秘書で殺害現場を目撃し、今は勝田の情婦となっている美沙子(中島ゆたか)が絡む。前作同様に彼女が負傷した鳴海をケアする場面があって苦笑させられるが、彼女との関係はハードボイルド調である。
腐れ縁にもなりかけ、彼女自身が “あの時に殺しておけば良かったのに” と何度か繰り返してはいるものの、勝田一味も全滅した後だけに最終的に彼の取る行動は理解しにくい。
脚本は播磨幸治、佐治乾の二人組に変わっているが、病院の外で彼女と再会した鳴海の台詞が直後と別れ直前とで脈絡が取れない(鳴海のおとぼけと考えられるが曖昧にすぎる)など、このシリーズの脚本家はどうも松田優作の強烈なムードに当てられて調子が狂ってしまうらしい。
「桃尻娘」で有名になった竹田かほり(後に甲斐よしひろと結婚)も花井を襲撃する若い組員の恋人役で出て来るが、余り使いこなせていない感じがする。
松田優作の口跡は、同じ年に作られた第一作とは違って、原田芳雄色が薄い。短い期間に何らかの心境の変化があったか。あるいは監督の指示か?
今回は「人間の証明」のキャッチコピーのパロディーで始まり、途中で鳴海が見たがっていた「野性の証明」の歌(町田義人のものほん)で終わる。後者は大野雄二のセルフ・パロディーと考えるべきだろう。
大学時代に甲斐よしひろ(当時は名前も漢字だったのではないかな)と同姓同名(但し漢字が違う)の同窓生がいましたなあ。
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