映画評「処刑遊戯」

☆☆★(5点/10点満点中)
1979年日本映画 監督・村川透
ネタバレあり

松田優作主演の “遊戯” もしくは “鳴海昌平” シリーズの 第3作にして最終作。 監督は一貫して村川透で、脚本はこれが第一作となる丸山昇一。
 第2作「殺人遊戯」と似た構図のお話ながら、お笑いは一切なく終始シリアスな本格ハードボイルド・タッチである。

殺し屋鳴海昌平(松田)は、バーで知り合ったピアニスト直子(りりぃ)と過ごした後、直子共々何者かに拉致・監禁される。直子を人質にする格好で、一味実は特務機関のリーダー藤田(山本麟一)は、機関の秘密を知り過ぎている別の殺し屋岡島(青木義朗)を殺すよう命ずる。提示の2倍の額で引き受けた鳴海は、ターゲットの入ったモーテルに直子の姿を発見し、凡その図式を掴むと共に、岡島を仕留める。自分を特務機関に接近させるのがその任務と気付いた直子には手を下さない。
 かくして彼女から報酬と、スパイ容疑のかかった日本人の在外大使館員(トビー・門口)を暗殺せよという命令を受け取る。しかし、この暗殺に失敗すると、この作戦自体に裏があることに気付き、特務機関の連中を殲滅、彼らを操っていた高級官僚・大田原(佐藤慶)を殺し、実はその秘書であった直子にはただ拳銃を渡して立ち去る。

このシリーズの悪い特徴は、松田優作のアクションを優先させたいせいか、主人公に何をさせたいかという依頼側の所期の目的が曖昧にすぎる為、常に途中で裏があることが判るという流れが全く効果的になっていない(裏があるから曖昧なのではある)ことである。

大使館員を載せた警察車両を追う松田を見せる場面かと思っていると、警察車両はどこへやら、いつの間にか機関の車から逃げる松田という場面に早変わりするなど実にシュール。しかし、何故か新聞によれば大使は殺されていることになっている。
 まあ、松田を亡き者にするのが連中の目的なのだろうが、それがどこから始まったのか、あるいは何故そこまで能力のある機関がこうもまだるっこい策略を弄するのか解らない。本作に限らず、露骨にお話の為のお話ばかりなのである。
 その傾向は依然避けられていないものの、劇映画として本作が一番結構が整ってい、フィルムノワールと言えるのはシリーズ中本作だけと思う。

本作より一昔前の1960年代後半から70年代前半のアラン・ドロン主演のフィルムノワールとチャールズ・ブロンスンのアクションぶりを合わせたような感じがする。多かれ少なかれ、参考にしたところはあるであろう。松田優作のアクションはひととおり楽しめる。

不死身の鳴海を演じた松田優作は11年後に帰らぬ人となる。ちょっとビックリでしたね。

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