映画評「バービー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年アメリカ=イギリス合作映画 監督グレタ・ガーウィグ
ネタバレあり

多分リカちゃんはバービーの日本版として始まったのだろう(年齢設定に差があるも)が、それはともかく人間が投影された人形を擬人化して主人公にするというところに面白さがある。まあ先祖がえりである。
 監督が僕が映像感覚を非常に買っているグレタ・ガーウィグだけに注目に値するが、彼女の作品としてはその感覚の発揮という点において物足りない。彼女はもっと現実そのものの映画の方が合っているような気がする。

バービーランド。定番を自認する人形バービー(マーゴット・ロビー)が体に違和感を感じ難しいことを考え始め、定番のケン(ライアン・ゴズリング)と手を取り合って人間の社会に飛び出した結果、人間社会は男性中心主義で成立していることに気付く。がっかりするバービーに対し、従属物という意識のあったケンは自信を得て、製作販売会社のマテル社に連れ帰られるや、他の人形たちを洗脳し始め、遂には憲法を変えてバービーランドをケンダムに変えようとする。
 それを知ったバービーは、彼女を変えた張本人であるマテル社の女性社員(アメリカ・フェレーラ)や子供に疎外された老バービー(ケイト・マッキノン)と一致協力して、バービーたちを洗脳し返して、ケンたちを同士討ちさせる。
 かくしてバービーランドは維持されると共に、目覚めた定番バービーは人間社会に出ることを決意する。

バービーは自分のしたいことをしていない世の女性たちの象徴となってい、幕切れで、世の女性に一歩前に足を踏み出すことを勧める、そんな内容である。
 単なるフェミニズム映画でもなく、男性優位社会は男性にも必ずしも生きやすい社会でないことを見せている。
 全体として、気付くことの大事さに言及しているわけでありましょう。

映画は後半ぐっとミュージカル的になるも、僕は序盤から、(お話や主人公の心情などを歌が説明する)バラッド形式にミュージカル性を感じていた。

社長役で出演しているウィル・フェレルがかつて主演した「主人公は僕だった」を思い起こさせるメタフィクション・ファンタジーだ。楽屋落ちという意味でのメタフィクションでもある。こういうところを面白がる人にはすこぶる面白いはず。
 どちらかと言えば僕もそのタイプだが、実際には、解りやすい現実的なメッセージが前面に出過ぎて身も蓋もない感じがし、余り喜べない。

バービー・ブベボが彼女の本名。嘘だけど。

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