映画評「プーさん あくまのくまさん」

★(1点/10点満点中)
2023年イギリス映画 監督リース・フレイク=ウォーターフィールド
ネタバレあり

映画サイトの解説では「くまのプーさん」のキャラクターがパブリック・ドメインになったとあるが、生みの親A・A・ミルンは1956年に亡くなっているので、作品がパブリック・ドメインになるのは2027年である。この辺が門外漢にはどうも解らないが、それはともかくパブリック・ドメインになったプーさんやピグレットが殺人鬼として登場するスプラッター・ホラー。

クリストファー・ロビンに去られた後、寒い冬が訪れ飢餓状態に陥り、プーさんたちは仲間のイーヨーを食べて生き延びるが、それを機にロビンを筆頭に人間を憎み、森の近くに訪れる者を次々と残虐千万な方法で殺害していく。
 最初に襲われるのが成年に達したロビン(ニコライ・レオン)と新妻で、新妻は早速殺される。さらにセラピストに勧められて森に程近いコテージを訪れた女性とその女友だちが襲われる。
 残った女性たちが奮闘してピグレットを倒した後、村の男たちが4名ほど現れるが、プーには歯が立たない。ロビンは女性たちの手を借りて逃げ出し、プーに挑む。

元々無理がある素材で、アニメならまだ見られるだろうが、実写ではプーさんやピグレットは被り物をした太ったおじさんにしか見えず、1980年の「13日の金曜日」シリーズ第1作以降のスプラッターと何ら変わるところがない。40年間に人体損壊度が激しくなったところに差があるくらいである。

映画内の説明らしきものによれば、登場人物には彼らは勿論ぬいぐるみなどでなく、人間と獣の異種交配による化け物のように見えるらしく、1970年代に流行ったマッド・サイエンティストのヴァリエーションのような感じなのだろう。
 しかし、これで☆★が増えるほど興味をそそるわけでもない。場面の繋ぎも全く出たとこ勝負的な進行ぶりなので呆れるばかり、何でも観てやろうという殊勝な方以外には観るには及ばず。

邦題について。「クマのプーさん」が人口に膾炙しているので、僕のセンスでは単に「あくまのプーさん」のほうがパロディーらしくて好ましい。

夢にミルンが出て来て僕に訊いた、“これ、観るんですか?”と。口直しにミルンが残した傑作ミステリー「赤い館の秘密」でも読みますか。

この記事へのコメント

2024年05月09日 10:22
>「あくまのプーさん」

ですよね、どうせならそちらのほうがよかった、語呂もいいのにね
しかし、わたしはプーさんもそうですが
おとぎばなしやディズニーキャラとかをこういう形て使う映画は
観る気はありません きらいです、こういうの
オカピー
2024年05月09日 21:25
nesskoさん、こんにちは。

>おとぎばなしやディズニーキャラとかをこういう形て使う映画は
>観る気はありません きらいです、こういうの

僕もそうですね。
一時期は、赤ずきんちゃんや白雪姫はスーパーヒロインの仕立てる映画も流行りました。

実は、パリ五輪の最中は映画を観る時間が余りなくなってしまうので、いま記事に使う本数稼ぎの為に短い映画を選んでいるデス。そうでなければ、こんな趣味も出来も悪い映画は観ません。