映画評「なまいきシャルロット」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1985年フランス映画 監督クロード・ミレール
ネタバレあり

セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの娘の初主演作ということで確実に観ているのだが、 IMDb に投票していなかった。1979年以降に観た洋画は全て投票している筈なのだが、何故か抜けておりました。邦画に関しては、前世紀の終わり頃に僕が投票を開始した頃 IMDb に登録されていない作品が多く、その限りではない。「飢餓海峡」もなかったのですぞ!

実際のところ内容を殆ど憶えていなかったが、おぼろげな当時の記憶よりはずっと良い佳作と言って良い作品だった。

思春期初め13歳の田舎娘シャルロット(シャルロット・ゲンズブール)は、近くの別荘地を拠点としてこの界隈で公演をしている13歳のクララ・シューマンならぬクララ・ボーマン(クロチルド・ボードン)なる少女ピアニストに夢中になる。彼女が演奏用の椅子を近くの工場に依頼しているのを知って、そこで働く作業者の若者ジャン(ジャン=フィリップ・エコフェ)と一緒に椅子を納めに行き、見事クララと親しくなることに成功する。
 “付き人にする” というどこまで真意なのか解らない少女の言葉を真に受け、シャルロットはこの後ひたすらこの閉塞的な土地から出て開放的な気分を味わうことを夢見る。その為に彼女を慕って来る隣の10歳くらいの病弱少女ルル(ジュリー・グレン)の気持ちを無視し、逆に旅に出るというジャンには同志を見出して火遊びもどきもするが、勿論一線を越えることなどできない。
 最後の様子では本当にクララは彼女を付き人にする気があったようにも見えるが、結局鼻血を出してまでシャルロットを止めようとするルルを思って(?)残るのである。

フランス映画お得意のわんぱく少年映画の少女版という感じもあるし、異国の美少女同士の交流には少女文学の匂いも漂い、自由を求めて外に飛び出そうと主人公が悪戦苦闘する青春映画の類でもある。

その思春期らしい言動をクロード・ミレールが軽快なタッチで描出して後味が良い。
 しかし、その快さもシャルロット・ゲンズブールの溌溂とした魅力と好演なしには達成できなかったであろう。この後すぐに子役を脱却して体当たり演技も辞さない大人の女優になっていくが、彼女を一番魅力的に捉えたのはこの映画なのではないか、という気すらする。

ベルナデット・ラフォンも出ているでよ。

この記事へのコメント

モカ
2024年06月23日 19:23
こんにちは。

おっしゃるとおりシャルロット・ゲンズブールあっての映画でしたね。
この次の「小さな泥棒」は「大人は判ってくれない」の女の子版でした。
オカピー
2024年06月23日 21:04
モカさん、こんにちは。

>この次の「小さな泥棒」は「大人は判ってくれない」の女の子版でした。

こちらは投票もしているけれど、忘れたなあ。
原案はトリュフォーも絡んでいるらしいですね。
クロード・ミレールという監督は、間違いなくトリュフォー・ファンです。この映画のタッチにもそれを感じます。