映画評「女子大小路の名探偵」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・松岡達矢
ネタバレあり

原作兼脚色の秦建日子は何と読むのかと思ったら、 “はた・たてひこ” と読むらしい。男性作家でしたよ。
 ミステリーらしいので観てみたが、映画としては弱体。もっと☆★は少なくても良いけれど、本格ミステリーらしい体裁を一応しているので、この手の実写映画が少ない現状を考慮して、甘めに評価しておきます。

30歳を過ぎて大学の講義を受けている剛力彩芽は、2年前に縁を切ったつもりの弟・醍醐虎汰朗が、スマホに登録されていた連絡先に “ヤマモト” なる共通点があった為に女子中学生襲撃事件の取り調べを受けることになったと知る。
 弟は児童福祉関係の女性・北原里英と知り合うが、彼女がその中学生を担当しようとしていたことが解っている。彩芽ちゃんは彼女に言い寄っている弁護士を使って大事になる前に弟を自由にする。
 彼を取り調べた刑事・小沢一敬は襲撃された中学生が着ていたコスプレを製作している北原里英の弟が店員をする食事処へ連れて行く。これにヒントを得た彩芽ちゃんは名探偵ぶりを発揮して、自らの弟を虜に警察に協力させる形で真犯人を挙げる。

所謂素人探偵もので、剛力彩芽が関心を寄せている大学教授・田中要次、弟、弁護士とで中学生の父親絡みで出かけていく場面を観て “ははあ、 【名探偵】は一人ではなかったか” と思っていると、この事件は襲撃事件と関係なく、 その後ヒロイン一人が刑事とタッグを組み形でやっと名探偵ぶりを発揮する。もっと早めに名探偵が彼女であるという確信を持たせる展開が望ましい。
 少し解りにくいのが彼女が過去を見るショット群である。単なる想像なのか、あるいは彼女にそういう残像意識を読む力があるのか最後まで曖昧。左脳人間にはこういうところが非常に疑問として頭に残り続け、集中力を殺ぐ。従って、序盤姉弟がすれ違う幼い姉弟も過去なのか曖昧。21世紀になって、一つのショットに違う時間軸の人物が同時に存在するのが映画言語的に珍しくなくなったので疑問になるわけである。

とにかくこのミステリーは兄妹の関係が通奏低音で、この辺りは一応きちんとした印象を与えているが、事件解決後がかなり冗長でいけない。極めてTV的である。

一時期CMでよく見た剛力彩芽を久しぶりに見た。何年か前にワイドショーが沙汰する騒動があり、それ以降CMの出番がぐんと減った印象があり(今でもあることはあるらしい)、ドラマは見る習慣がない為に、本当に久しぶりだ。CMのような瞬間的なものではなくまともに見るのは初めてかと思ったら、「黒執事」という映画で経験済みでした。

剛力彩芽・・・最初は読み方が解らなかったなあ。尤も職業の剛力は知っていたので、それと結び付ければ簡単だったのだが。

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