映画評「ブリティッシュ・ロック誕生の地下室」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年イギリス映画 監督ジョルジオ・グルニエ
ネタバレあり

音楽ドキュメンタリー。プライム・ビデオにて鑑賞。

ローリング・ストーンズやクリームやザ・フーという大物が生まれたロンドンのイーリング・クラブなる演奏場と、そこを拠点に大量のブルース・ロック・ミュージシャンを育てたアレクシス・コーナー(1928-1984)の両方の功績を綴る内容。

このクラブを作ったフェリー・アスガリなる人物がイラン出身というのがすこぶる意外で、興味深い。
 イラン出身者が作ったクラブで、英国人により、1950年代末に殆どアメリカ人が忘れているブルース(この映画の翻訳ではブルーズとなっている。監修のピーター・バラカンの拘りだろう)と、黒人ブルース・ミュージシャンが掘り起こされ、その後のロックの発展がある。音楽は確かに国境を超える。
 ブリティッシュ・ロック史全般を俯瞰するには、その後のブリティッシュ・インヴェイジョンを見てもビートルズ(などのマージー・ビート)を語らないわけには行かないのだが、本作はイーリング・クラブに特化しているので全く触れられていない。

インタヴューが多くてライブ演奏の場面が少なめなのは少々不満であるも、ジャック・ブルース(クリームのベーシスト)、ジンジャー・ベイカー(クリームのドラマー、最後まで変な格好で喋っている)、若すぎて関われないエリック・クラプトンの代わりに彼をメンバーにしたジョン・メイオール、アニマルズのエリック・バードン、マンフレッド・マンにいたポール・ジョーンズ(ジョン=ポール・ジョーンズとは別人)の近影を見ることができるのはブルース・ロック・ファンには感慨深いものがあるのではないか。

その他多くの方々がインタヴューイーとして登場するが、ローリング・ストーンズ関連の面々はアーカイヴ出演のみ。

ごく瞬間的とは言え、ブルース・インク・シンガーズというバンドにミック・ジャガーとエリック・バードンが一緒に在籍したというのだから凄い。
 60年代後半になるとジミ・ヘンドリックスも出て来るが、この映画が重視しているのはブリティッシュ・インヴェイジョンが始まるより少し前の1963年くらいまでのようだ。

その他、重要人物としてジョージィ・フェイムも出て来る。僕は何曲か知るのみなので、全く語ることができない。
 シリル・デイヴィズという電気ハーモニカ吹き兼ヴォーカリストは全く知らなかった。この人は初期のクラブにおいて最重要の扱いを受けているが、ウィキペディア英語版によると63年に31歳で早世している(ので一般的に知られることはなかったらしい)。

1週間前にジョン・メイオールの訃報が飛び込んで来た。合掌。

この記事へのコメント

モカ
2024年07月31日 13:09
こんにちは。

> ジンジャー・ベイカー
  ベイカー組の親分みたいでしたね (^^)
このインタビュー映像はかなり前に観たことがあって、関連部分だけ借用しているんでしょうね。長時間インタビューでお疲れが出ていた模様です。
クリーム組組長の名誉の為に言わせてもらえば、もうちょっとシャキッと姿勢が良かった部分を見た記憶があります。

 イーリングというと「マダムと泥棒」しか連想出来なかったのですがキャバーンと並ぶ2大ロック発祥クラブだったのですね。 
 初期ストーンズの「Out of our heads」のジャケットで狭い階段の1番下にブライアン・ジョーンズがいるあの写真が昔から好きだったのですが撮影場所はここかもと謎が解けた気分です。階段の幅がちょっと違うけど、改装されたとしておきましょう。
 
☆ ジョン・メイオール
 特に魅力的という訳ではないのですが、いつもランニング姿で地味に頑張っておられた偉大なる先達でしたね。
オカピー
2024年07月31日 20:21
モカさん、こんにちは。

>> ジンジャー・ベイカー
>ベイカー組の親分みたいでしたね (^^)

その表現がぴったり。

>イーリングというと「マダムと泥棒」しか連想出来なかった

英国映画には重要な場所。モカさんは英国に詳しいですね!

>>ジョン・メイオール

この人が呼び入れたミュージシャンは色々な有名なブルース・ロック・バンドを組んでいますね。