映画評「ベイビーわるきゅーれ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2021年日本映画 監督・阪元裕吾
ネタバレあり
B級(低予算)映画らしい面白さを満喫できる快作である。その割に☆★が少ないのではないかと思われるかもしれないが、B級ジャンル映画では一線を超える極めて画期的なアイデアや演出がない限りこの辺に留めるのが僕のスタンスである。一線を越えれば★どころか一気に☆まで増える。スティーヴン・スピルバーグの「激突!」(1972年)のように。
ちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は高校生の殺し屋コンビ。卒業するとともに本業の殺し屋以外に、社会人として生活をしろと、殺し屋組織のサポート役に命じられ、同居をしながらバイトを探す日々。陽気なちさとはメイド喫茶のメイドの仕事を得るが、人とのコミュニケーションが苦手なまひろは結局不採用。
勤め始めたばかりのメイド喫茶にヤクザ浪岡一平(本宮泰風)とその息子かずき(うえきやサトシ)が訪れ、メイドの不始末を怒って暴れまわる。現場にいたちさとは勿論得意の技術であっさり二人を倒すのだが、私事の仕事である為死体処理屋への支払いは保険の対象外と知らされがっかり。
父と兄を殺された一平の娘ひまり(秋谷百音)は怒り、犯人が以前から関わり合いのあったちさと知り、殺し屋を揃えた上で、呼び出す。ちさとは関係が悪くなっていたまひろに援護を頼んで、現場へ直行する。
二十歳にもならない少女二人がすこぶる腕の立つ殺し屋であるというのが肝であるが、殺し屋稼業が当り前の仕事のように存在しているというパラレル・ワールド的設定がそれ以上に興味深かった。死体処理に保険が利く利かないという辺りがそうした面白さの典型と言うべし。半年前に観た「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」の中年姉妹殺し屋のアイデアはこの映画の存在があったから生まれたのかもしれない。
女優陣のアクションも見応え満点。どこまで自分でやっているか知らないが、立派というにふさわしい。
その部分を離れても、対照的な性格の少女たちが社会と向き合って悪戦苦闘する姿を捉えた青春映画としての溌溂とした魅力も捨てがたい。歳を取って若者の生態に関心がない僕をして、この二人の様子は世間的に余り優秀とは言えない少女たちの普遍的な姿なのかもしれないと推し量る気にさせただけでも、褒めるに値する。
ワルキューレと言えば闘いにおける生死を決める女性。闘いと言えば五輪。放送の無い午前中は配信で見逃したものを観ている。重圧を背負わされている選手が気の毒になるが、出場すれば必然的に目標が金になってしまう柔道選手は特にきついと思う。
2021年日本映画 監督・阪元裕吾
ネタバレあり
B級(低予算)映画らしい面白さを満喫できる快作である。その割に☆★が少ないのではないかと思われるかもしれないが、B級ジャンル映画では一線を超える極めて画期的なアイデアや演出がない限りこの辺に留めるのが僕のスタンスである。一線を越えれば★どころか一気に☆まで増える。スティーヴン・スピルバーグの「激突!」(1972年)のように。
ちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は高校生の殺し屋コンビ。卒業するとともに本業の殺し屋以外に、社会人として生活をしろと、殺し屋組織のサポート役に命じられ、同居をしながらバイトを探す日々。陽気なちさとはメイド喫茶のメイドの仕事を得るが、人とのコミュニケーションが苦手なまひろは結局不採用。
勤め始めたばかりのメイド喫茶にヤクザ浪岡一平(本宮泰風)とその息子かずき(うえきやサトシ)が訪れ、メイドの不始末を怒って暴れまわる。現場にいたちさとは勿論得意の技術であっさり二人を倒すのだが、私事の仕事である為死体処理屋への支払いは保険の対象外と知らされがっかり。
父と兄を殺された一平の娘ひまり(秋谷百音)は怒り、犯人が以前から関わり合いのあったちさと知り、殺し屋を揃えた上で、呼び出す。ちさとは関係が悪くなっていたまひろに援護を頼んで、現場へ直行する。
二十歳にもならない少女二人がすこぶる腕の立つ殺し屋であるというのが肝であるが、殺し屋稼業が当り前の仕事のように存在しているというパラレル・ワールド的設定がそれ以上に興味深かった。死体処理に保険が利く利かないという辺りがそうした面白さの典型と言うべし。半年前に観た「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」の中年姉妹殺し屋のアイデアはこの映画の存在があったから生まれたのかもしれない。
女優陣のアクションも見応え満点。どこまで自分でやっているか知らないが、立派というにふさわしい。
その部分を離れても、対照的な性格の少女たちが社会と向き合って悪戦苦闘する姿を捉えた青春映画としての溌溂とした魅力も捨てがたい。歳を取って若者の生態に関心がない僕をして、この二人の様子は世間的に余り優秀とは言えない少女たちの普遍的な姿なのかもしれないと推し量る気にさせただけでも、褒めるに値する。
ワルキューレと言えば闘いにおける生死を決める女性。闘いと言えば五輪。放送の無い午前中は配信で見逃したものを観ている。重圧を背負わされている選手が気の毒になるが、出場すれば必然的に目標が金になってしまう柔道選手は特にきついと思う。
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