映画評「ウィ、シェフ!」

☆☆★(5点/10点満点中)
2022年フランス映画 監督ルイ=ジュリアン・プティ
ネタバレあり

一流レストランの副シェフ、オドレイ・ラミーがシェフと喧嘩してクビになり、仕方なくフランソワ・クリュゼが経営する難民自立支援施設の料理係と勤め始める。施設の考えとは合わないところもあるが、難民の少年たちに手伝わせようと呼びかけたことがきっかけで、材料の収穫から給仕までレストランに関係することを教える授―業も兼ねて料理を作らせるに至り、遂に彼女はこれを正式の講義とする。

トリとロキタ」など、最近フランス映画に難民絡みの社会派映画が目立つ。全部観るとフランスでの難民施策がかなり解って来て、勉強になる。翻って、難民を主題にした邦画を僕は「マイスモールランド」一本しか知らない。
 それらを観ると、欧米とてむやみやたらに難民を受け入れているわけではないことが解るが、それにしても日本の難民に対する扱いは厳しすぎる。難民とは別に、日本は治安が良いので仕事を求めて来てくれる外国人はまだまだいるが、給料も相対的に低くなりつつあるので、もう少し考えないといけないと思われる時代に、一面では後退しているところもあるように感じられる。

実際の政治のことはともかく、途中まではなかなか快く観させて貰った。料理と難民少年たちの好きなサッカーとの混ぜ具合がなかなか素敵だ。
 しかし、TVの料理対決の決勝戦で、ヒロインが取った作戦は気に入らない。こういうのは小説であると結構素直に読めるのだが、映画となると押し付けがましく感じられて厭らしい。ストレートに難民支援キャンペーン映画になってしまう。
 大体において社会派映画は好きだが、余りにプロパガンダ的になると臭みが出て僕は逃げ出したくなる。TV番組のディレクターが露骨にヒロイン贔屓なのが面白かったが。

オドレイ・ラミーの子供時代を演じた子役はなかなか似ていましたな。

パリ五輪開幕に名目にしたWOWOWによるフランス映画特集。柔道の団体決勝戦は面白かったなあ。久しぶりに選手と一緒に体が動いた。

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