映画評「旅するローマ教皇」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2022年イタリア映画 監督ジャンフランコ・ロージ
ネタバレあり
ジャンフランコ・ロージという監督は、所謂ドキュメンタリーではなく、実際には同じ意味にすぎない【記録映画】の作者という感じがする。彼の主観を、少なくとも彼自身の言葉として明示することはない。勿論、映像の取捨選択という形で “演出” は入るが、徹底的に撮り、映すだけである。
この映画を検索すると、目立つ場所に “万人向けではなくクリスチャン向け” というコメントが現れたが、まるで見当違いである。
万人向けでない理由はロージ監督の徹底して観照的なスタイルにあるのであって、主人公のローマ教皇がキリスト教カトリックの代表であるからではない。
主人公の教皇フランシスコは着任9年間で37か国に飛んだと言うが、その中にはイスラム圏もあるし、キリスト教徒の少ない日本をも訪れている。後者は戦争や武器の愚かしさを訴える一環であるが、前者には宗教を超えようという意識が垣間見える。本当の聖人は他宗教の悪口など言わない。同じキリスト教でありながらカトリックと仲の悪いロシア正教会とも手を結ぼうとしている。
そして彼の主張は常に、戦争や暴力や差別を起こすのは人の欲望であるという点に収斂する。これは仏教者でも述べることであるし、クリスチャン云々を超越しているのは言うまでもない。寧ろ非クリスチャンこそ観るべきである。
僕らが高校生の時は日本語での呼称が教皇であったり、法王であったりしたが、カトリック教会で “王より教えがふさわしい” と、 教皇に統一した経緯があるらしい。マスメディアは未だに混用しているとウィキペディアは書くが、近年僕はローマ法王という表記を見ない。官庁は強硬な態度で法王を続けてきたが、最近教皇に変えたらしい。
2022年イタリア映画 監督ジャンフランコ・ロージ
ネタバレあり
ジャンフランコ・ロージという監督は、所謂ドキュメンタリーではなく、実際には同じ意味にすぎない【記録映画】の作者という感じがする。彼の主観を、少なくとも彼自身の言葉として明示することはない。勿論、映像の取捨選択という形で “演出” は入るが、徹底的に撮り、映すだけである。
この映画を検索すると、目立つ場所に “万人向けではなくクリスチャン向け” というコメントが現れたが、まるで見当違いである。
万人向けでない理由はロージ監督の徹底して観照的なスタイルにあるのであって、主人公のローマ教皇がキリスト教カトリックの代表であるからではない。
主人公の教皇フランシスコは着任9年間で37か国に飛んだと言うが、その中にはイスラム圏もあるし、キリスト教徒の少ない日本をも訪れている。後者は戦争や武器の愚かしさを訴える一環であるが、前者には宗教を超えようという意識が垣間見える。本当の聖人は他宗教の悪口など言わない。同じキリスト教でありながらカトリックと仲の悪いロシア正教会とも手を結ぼうとしている。
そして彼の主張は常に、戦争や暴力や差別を起こすのは人の欲望であるという点に収斂する。これは仏教者でも述べることであるし、クリスチャン云々を超越しているのは言うまでもない。寧ろ非クリスチャンこそ観るべきである。
僕らが高校生の時は日本語での呼称が教皇であったり、法王であったりしたが、カトリック教会で “王より教えがふさわしい” と、 教皇に統一した経緯があるらしい。マスメディアは未だに混用しているとウィキペディアは書くが、近年僕はローマ法王という表記を見ない。官庁は強硬な態度で法王を続けてきたが、最近教皇に変えたらしい。
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