映画評「マダム・ウェブ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2024年アメリカ映画 監督S・J・クラークスン
ネタバレあり
一時に比べるとマーヴェル・コミックスの映画化も大分頻度が落ち、程良いスパンで観られる。それでも、SFが天然記念物のように希少だった僕らの若い頃を考えれば、まだまだ多い。CGの登場によってSFはあらゆる意味でハードルが低くなったのだ。
臨月の女性科学者がペルーの山奥である蜘蛛を探している。彼女が発見した途端ボディガードのエゼキエル(タハル・ラヒム)が裏切って発砲し、逃走する。その直後に蜘蛛人間が現れ、重傷の彼女を秘境に連れて行き、女の赤ちゃんだけを助けることに成功する。
この女児が約30年後の2003年に救急救命士として活躍するキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンスン)で、海に落ちて臨死を経験してから予知能力を身に付ける。自在に使えるわけではないが、良からぬことが起きると必ず脳裡に浮かぶ。
片や、エゼキエルは成功者となっているが、NSAから盗んだ特殊技術で街中をチェックさせ、夢で必ず現れ自分を殺す三人の覆面女性(シドニー・スウィーニー、イザベラ・メルセド、セレスト・オコナー)を探す。
キャシーはこの三人が一堂に会する地下鉄に偶然居合わせ、蜘蛛人間として特殊能力を発揮するエゼキエルの攻撃をかわし、以降キャシーはペルーにまで行って予知力を伸ばし、いつまでも追って来るエゼキエルから少女たちを守る。
というお話で、マーヴェル・コミックス・ファンにはお馴染みにちがいないマダム・ウェブ誕生の巻という次第。
この少女たちが後にスパイダーウーマンになって活躍するようなのだが、映画はそこまで行かず、最後に後のスパイダーマンことピーター・パーカーの文字通りの生誕を描いて終わり。
キャシーの同僚ベン・パーカーは、ピーター君の父親の兄で、映画に一番出て来るメイ伯母さんの夫である。つまりメイおばさんはピーター君とは血液上の繋がりはない。勉強になりましたなあ。
予知能力を重視しているのが一応の新味とは言えるものの、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「バタフライ・エフェクト」など時間SFのヴァリエーションに過ぎず、既に知ったことを回避するという意味では似たり寄ったり、結果お話の構図として型通りとなり面白味を欠く。
発展中だから仕方がないものの、女性陣の活躍が足りない。アメリカのメジャー映画故なので視覚面と映画芸術的技術において、今年初めに観た香港製の類似作品「ワンダー・ガールズ 東方三侠」(1993年)より格上ではあるが、女性陣のアクションを期待するならまだあちらのほうが良いかもしれない。
人名のウェブは巣より一つ b が多い。
2024年アメリカ映画 監督S・J・クラークスン
ネタバレあり
一時に比べるとマーヴェル・コミックスの映画化も大分頻度が落ち、程良いスパンで観られる。それでも、SFが天然記念物のように希少だった僕らの若い頃を考えれば、まだまだ多い。CGの登場によってSFはあらゆる意味でハードルが低くなったのだ。
臨月の女性科学者がペルーの山奥である蜘蛛を探している。彼女が発見した途端ボディガードのエゼキエル(タハル・ラヒム)が裏切って発砲し、逃走する。その直後に蜘蛛人間が現れ、重傷の彼女を秘境に連れて行き、女の赤ちゃんだけを助けることに成功する。
この女児が約30年後の2003年に救急救命士として活躍するキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンスン)で、海に落ちて臨死を経験してから予知能力を身に付ける。自在に使えるわけではないが、良からぬことが起きると必ず脳裡に浮かぶ。
片や、エゼキエルは成功者となっているが、NSAから盗んだ特殊技術で街中をチェックさせ、夢で必ず現れ自分を殺す三人の覆面女性(シドニー・スウィーニー、イザベラ・メルセド、セレスト・オコナー)を探す。
キャシーはこの三人が一堂に会する地下鉄に偶然居合わせ、蜘蛛人間として特殊能力を発揮するエゼキエルの攻撃をかわし、以降キャシーはペルーにまで行って予知力を伸ばし、いつまでも追って来るエゼキエルから少女たちを守る。
というお話で、マーヴェル・コミックス・ファンにはお馴染みにちがいないマダム・ウェブ誕生の巻という次第。
この少女たちが後にスパイダーウーマンになって活躍するようなのだが、映画はそこまで行かず、最後に後のスパイダーマンことピーター・パーカーの文字通りの生誕を描いて終わり。
キャシーの同僚ベン・パーカーは、ピーター君の父親の兄で、映画に一番出て来るメイ伯母さんの夫である。つまりメイおばさんはピーター君とは血液上の繋がりはない。勉強になりましたなあ。
予知能力を重視しているのが一応の新味とは言えるものの、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「バタフライ・エフェクト」など時間SFのヴァリエーションに過ぎず、既に知ったことを回避するという意味では似たり寄ったり、結果お話の構図として型通りとなり面白味を欠く。
発展中だから仕方がないものの、女性陣の活躍が足りない。アメリカのメジャー映画故なので視覚面と映画芸術的技術において、今年初めに観た香港製の類似作品「ワンダー・ガールズ 東方三侠」(1993年)より格上ではあるが、女性陣のアクションを期待するならまだあちらのほうが良いかもしれない。
人名のウェブは巣より一つ b が多い。
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