映画評「唄う六人の女」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・石橋義正
ネタバレあり

市川崑に「黒い十人の女」という作品がありましたな。

急死した父親の不動産を相続した写真家・竹野内豊は早速山奥にある現地に赴き、不動産屋・竹中直人を介して、開発業者・山田孝之に売る。山田の先には大手開発業者・津田寛治がいる。
 山田が駅まで送ると竹野内と山道を下るうちに落石に衝突。目が覚めた時には二人とも、一言も話さない謎めいた6人の女たち(水川あさみ、武田玲奈、アオイヤマダ、桃果、服部樹咲、萩原みのり)に監禁されていることを知る。何とか逃げ出そうとしても森を抜けることが出来ず、舞い戻ってしまう。

この辺りまでは、泉鏡花の幻想小説っぽくてなかなか興味深い。

父の残した写真や文書から父が森林を残そうとしていたことに気づいた竹野内は、恋人(武田玲奈二役)と再会した後、父の遺志を継ごうと監禁された家に戻る。が、山を下れずイライラした、実は彼の父を殺した殺人犯・山田によって農用フォークを刺され、絶命する。
 数年後、さらに彼の遺志を継いだ恋人が事件の少し前に妊娠を把握した子供と家と森を守っている。

という後半は大分興醒めする。皆に頭を病んでいると言われた父親が環境破壊に抵抗していた人物で、その存在が邪魔である為に村人からは悪く言われ、挙句山田に殺されたというミステリー的な部分(の判明)はまだしも、原発絡みで活断層云々と余りに具体的な言及が出て来た時点で社会派的になりすぎて良くないのである。
 神秘的に始まった映画だから、もっと抽象的に留めた方が清々しく見終えられたと思う。

娯楽映画的には、動植物の化身である6人が精霊的ではなく、現実の人間的で、山田の暴力に対して余りに弱々しく、竹野内を救うことに無力だったりするのは物足りない。そんな彼女たちも、彼を森から出さないことで最小限の抵抗を示すわけだが。

昨日村の祭があり、氏子総代を務めた。疲れました。今日は旗下ろしをして本年の大仕事は終わり。後は神社の銀杏等の落ち葉を片付けるのが11月ごろにあるが、これをもう一人の氏子総代とする。草むしりは5月から10月まで氏子総代二人の担当で、1回数時間かけてやる。神社総代なるものが二人いるが、この人たちは一年間何もしない。隣町からやって来る特別参加の獅子舞の人々に酒を渡すだけなのだ。神社の祟りがあるのではないかと思うくらい不公平だ。

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