映画評「弟は僕のヒーロー」
☆☆★(5点/10点満点中)
2019年イタリア=スペイン合作映画 監督ステファノ・チパーニ
ネタバレあり
近年ダウン症の人を主人公ないしは重要な脇役として扱う作品がぐっと増えて来た。果たして良いことなのかどうか。
主人公の少年ジャコモ=ジャック(フランチェスコ・ゲギ)が8歳くらいの時、一家に4番目の子供にして弟が出来ると知って大喜び。誕生した時に両親は特別な子供と言うので、スーパーヒーローのような弟ができると信じるが、染色体が一つ多いダウン症の男児であるとやがて知る。
およそ7年後、ジョーと名づけられた弟は確かに健常者とは違うが、陽気な少年に成長する(ロレンツォ・シスト)。
ジャックことジャコモは好きな女生徒アリアンヌ(アリアンヌ・ベケローニ)を追って少し通学距離のある高校に進学すると、彼女が結成する政治的活動に参加すると共に、音楽グループにも参画する。見栄を張って学校内や彼女の前では弟のいないことを決め込んだ彼は、弟がYouTubeで少し注目を浴びると発覚を恐れて動画を削除、犯人と疑われるのを恐れて今度はネオナチに見せかけたビラを郵便入れに入れる。
しかし、嘘を嘘で塗り固めるうちに却って八方塞がりになり、犯行を自白すると四面楚歌になる。が、ジョーはそんな兄さんが大好きで、試練を経てジャックも弟を大事にするようになる。
ジャコモ・マッツァリオールという若者が発表した著作を映画化した実話もの。
障碍者をドラマ映画で見るのは余り好きではないが、それでも昔と違って、同情を惹起してお涙頂戴になるような作劇ではなく、概ね喜劇的に明朗に処理してくれるのは有難い。
それに加えて本作の場合、主人公の青春模様も清々しく、当たり障りがないと言えばそれまでながら、全体的に素直に作られているのは評価できると思う。
こういう素材を扱うのだから当然啓蒙色が出るところはあるが、紆余曲折がありつつも全体としては家族の仲が良いのも悪くない。
同じくダウン症の女性を主人公にした「わたしはダフネ」というイタリア映画がある。あちらも2019年製作だ。その頃ちょっとしたダウン症のブームがあったのかもね。
【口は災いの元】と言いますぜ。【嘘つきは泥棒の始まり】とも言うが、割れ窓理論を個人に当てはめれば、科学的にも正しいのかもしれない。
2019年イタリア=スペイン合作映画 監督ステファノ・チパーニ
ネタバレあり
近年ダウン症の人を主人公ないしは重要な脇役として扱う作品がぐっと増えて来た。果たして良いことなのかどうか。
主人公の少年ジャコモ=ジャック(フランチェスコ・ゲギ)が8歳くらいの時、一家に4番目の子供にして弟が出来ると知って大喜び。誕生した時に両親は特別な子供と言うので、スーパーヒーローのような弟ができると信じるが、染色体が一つ多いダウン症の男児であるとやがて知る。
およそ7年後、ジョーと名づけられた弟は確かに健常者とは違うが、陽気な少年に成長する(ロレンツォ・シスト)。
ジャックことジャコモは好きな女生徒アリアンヌ(アリアンヌ・ベケローニ)を追って少し通学距離のある高校に進学すると、彼女が結成する政治的活動に参加すると共に、音楽グループにも参画する。見栄を張って学校内や彼女の前では弟のいないことを決め込んだ彼は、弟がYouTubeで少し注目を浴びると発覚を恐れて動画を削除、犯人と疑われるのを恐れて今度はネオナチに見せかけたビラを郵便入れに入れる。
しかし、嘘を嘘で塗り固めるうちに却って八方塞がりになり、犯行を自白すると四面楚歌になる。が、ジョーはそんな兄さんが大好きで、試練を経てジャックも弟を大事にするようになる。
ジャコモ・マッツァリオールという若者が発表した著作を映画化した実話もの。
障碍者をドラマ映画で見るのは余り好きではないが、それでも昔と違って、同情を惹起してお涙頂戴になるような作劇ではなく、概ね喜劇的に明朗に処理してくれるのは有難い。
それに加えて本作の場合、主人公の青春模様も清々しく、当たり障りがないと言えばそれまでながら、全体的に素直に作られているのは評価できると思う。
こういう素材を扱うのだから当然啓蒙色が出るところはあるが、紆余曲折がありつつも全体としては家族の仲が良いのも悪くない。
同じくダウン症の女性を主人公にした「わたしはダフネ」というイタリア映画がある。あちらも2019年製作だ。その頃ちょっとしたダウン症のブームがあったのかもね。
【口は災いの元】と言いますぜ。【嘘つきは泥棒の始まり】とも言うが、割れ窓理論を個人に当てはめれば、科学的にも正しいのかもしれない。
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