映画評「オペレーション・フォーチュン」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年アメリカ=イギリス=中国=インドネシア=トルコ合作映画 監督ガイ・リッチー
ネタバレあり

ガイ・リッチーは「スウェプト・アウェイ」で正攻法の映画を作れない才能があることを世に知らしめ、結局時間軸をいじくり面白いように見せかける映画に戻ってきて、程々うまく行っている。

ウクライナのギャングが “ハンドル” なる謎の装置を盗む。
 英国政府は、その装置の何たるやを知らないまま、当局外のケイリー・ウェルエスを雇い、その彼は子飼いのジェイスン・ステイサムを雇い、ハッカー美人オーブリー・プラザ、何でも得意の銃撃名人バグジー・マローンを脇に付ける。この装置を媒介するのが武器商人ヒュー・グラントで、彼がご贔屓とする男優ジョシュ・ハートネットを巻き込み、一味は彼に接近するのに成功する。
 “ハンドル” を身内に横取りされたステイサムは、手数料を横取りさせて怒るグラントを味方に引き入れ、新たな買い手を脅して仲間割れを引き起こさせる。

といったお話は、最近の「ミッション:インポッシブル」シリーズに似た雰囲気も漂い、スパイ映画出演のおかげで運転の巧いという設定のハートネットに時々トム・クルーズめく雰囲気がなくもないが、異様に展開が速すぎて溜めの無い見せ方なのでスケールを感じる前に終了し、ロートルにはお話に付いていけないところが多い。60歳以上にはお勧めしかねる。

最後に彼らの経験が映画化されそうな雰囲気を漂わすのは近年の定石的扱い。

リッチーらしく時間軸をいじくった箇所が一ヶ所だけあり、敵アジトに入って敵二人に挟まれた後を省略し、別の場面を挟んで、それをどうやり過ごしたか見せる。敢えて映像で見せる必要があるとも思えないが、リッチーはどうしてもこの手から離れられない模様。

“ハンドル” は、 所謂マクガフィンで終わらせたほうが面白かったはずと思うが、 何でも説明を求めたがる最近の若い人にはマクガフィン故の面白味は解らないだろう。マクガフィンは代替え可能な単なる仕組み・仕掛けのことで、結局正体不明のまま終わる。

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