映画評「SAND LAND」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・横嶋俊久
ネタバレあり

7か月前に亡くなった漫画家鳥山明は、40年程前実家に帰った時に、まだ家にいた兄貴が夕飯時TVで「Dr.スランプ」を観ているのに付き合った程度。
 鳥山はこの後「ドラゴンボール」で世界的になるわけだが、その「ドラゴンボール」もいかにも出来の悪いアメリカ実写版を観ただけ。
 本作はそうした大作ではないにしても、劇場用映画になるのだからそれだけの魅力があるのだろう。

水が限られたところにしかなくなったサンドランドという国では、国王が水を独占して高い価格で国民に販売している。60代の保安官ラオ(声:山路和弘)が新たな水源を求めて旅に出、サタンの息子たる王子ベルセブブ(声:田村睦心)とお目付けの老人シーフ(声:チョー)と出会う。
 大したことではないことを悪と信じる彼らは実は人間より善心を持っていることが気に入ったラオは行動を共にすることにし、彼らの話から、30年前に遡る国王と大将軍ゼウ(声:飛田展男)の悪計から、現在の水不足が始まったことを知り、30年前に父親を戦死で失ったアレ将軍(声:鶴岡聡)までも味方に引き入れて、大悪党ゼウとその率いる軍団と戦うことになる。

というお話で、水を黄金に変えれば西部劇的な設定で、先日の「ゴールデンカムイ」にも似て、一種の争奪戦の様相を呈しているアクション編である。
 そうした争奪戦に悪魔を繰り出して来るのがアニメらしいが、その心はと言えば、逆説的に人間の悪を浮かび上がらせる為である。こういう時代であるから、悪魔(外国人)に対する偏見や差別心の非を訴える目的もありそうだ。

宮崎駿アニメのように自然と人間との関係に言及する深淵微妙な世界観(世間の人が多用するそれ=設定や空気感のことではない)があるわけではないが、(回想はあるものの)そこそこ直線的なストーリー展開は、棺桶片足組でも一通り楽しめる。

ベテラン声優陣が次々と亡くなっている。僕が高校まで洋画の吹替でお世話になった声優の方々の名はよく知っているが、アニメや1980年代以降に出て来た方々は余り知らない。大山のぶ代は吹替で遭遇したことはない一方、小原乃梨子はジェーン・フォンダのイメージが強い。

この記事へのコメント

モカ
2024年10月24日 22:41
こんにちは。

「マッドマックス 怒りのデスロード」に似ていませんか?
漫画は20年くらい前の作品なので、こっちが先ですね。
オカピー
2024年10月24日 23:08
モカさん、こんにちは。

>「マッドマックス 怒りのデスロード」に似ていませんか?

どちらも、西部劇仕様ですね。