映画評「スーパーマン」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1978年アメリカ映画 監督リチャード・ドナー
ネタバレあり
45年前に映画館で観、その後衛星放送でも観たと思う。都合3回目。
CGの発達・普及によってSF/ファンタジーやアメコミ映画版が大安売りになってしまい、誠に有難くない。優れた作品が数々生れている一方、本数が少なければもっと感動できるだろうにと、SF映画に希少価値があった時代に成長した僕ら世代の映画ファンは共通して思うのではないだろうか?
SF映画が「2001年宇宙の旅」(1968年)によりメジャー映画における市民権を得てはいたものの、僕がティーンエイジャーの時観られたSF映画と言えば「猿の惑星」(1968年)の出来の悪い続編群や、ユル・ブリンナーが出た「ウエストワールド」、さもなくばジュール・ヴェルヌの映画化くらいで、他にもあることはあっても出来栄えが伴うものは限られていた。
そんな時代に「スター・ウォーズ」の後に現れた本作が、メジャー映画が大々的に作るスーパーヒーローものの最初の一作だった。僕はもう大学生だったが、興味は絶大で、出来栄えも非常に良く、見事に大人向けのレベルに達していると感心したものだ。
宇宙のどこかにある惑星クリプトン星が滅びる直前、科学者の議員ジョー=エル(マーロン・ブランドー)が、赤子のカル=エルを地球に送り出す。地球に届いたカプセルから出て来た赤子は田園地帯の熟年ケント夫婦に拾われ、クラークと名付けられて成長する。
大学時代に北極に向い、幻の父親から色々と知恵を授けられた後メトロポリス(ニューヨークもどき)にあるデイリー・プラネット新聞社に入社、美人記者ロイス・レイン(マーゴット・キダー)と色々絡み合いながら、彼女を含めた人々のピンチを助けていく。
アメリカ陸海軍によるロケット発射実験を利用してカリフォルニアの大断層に直撃させてカリフォルニアを我が支配下におこうと考える天才科学者レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)は、スーパーマンの存在を知ると敢えて彼を自分の基地に呼び寄せ、予め邪魔者を排除しようと画策する。
こんなお話で、今回観たのはオリジナル版より8分長いディレクターズ・カット版。どこが長くなったのか全く解りません。
クラーク・ケントがスーパーマンとして大々的に活躍する部分は、SFXだからではなく合成技術が必ずしも満点ではない為に(当時の感覚でも)物足りないところがあるものの、やはり大のご馳走である。SFXの足りない部分は寧ろ我々の想像力を却って刺激し、地震で途切れた線路の代りになったり、ダムから流れ出した大水を崖を崩してせき止めるといった場面が誠に楽しい。シンプルだから面白味が直球的に伝わって来る。一見しょぼくても僕は断然(VFXではなく)SFXが好きだ。
華美な場面が好きな方には退屈かもしれない前半がなかなか良い。育ての親との関係や大学時代のエピソードに牧歌的で捨てがたい味がある。
スーパーマンがロイス・レインと空の旅をするところのロマンティシズムも素晴らしい。この後21世紀になって大量にスーパーヒーローものが作られるが、これに優るロマンティックなシーンはないと思う。
現在ワールド・シリーズ第5戦進行中。ドジャーズに勝ってほしい気が強くなったが、僕のスーパーヒーローはずっと松井秀喜なので、ヤンキーズに頑張って貰いたい気もする。今日ドジャーズが負けると、山本由伸が先発する第6戦が行われるので、少々複雑な心境ではある。その場合プレッシャーのかかる山本投手には良いピッチング(5回以上で2失点以内)を期す。勝敗は二の次。
1978年アメリカ映画 監督リチャード・ドナー
ネタバレあり
45年前に映画館で観、その後衛星放送でも観たと思う。都合3回目。
CGの発達・普及によってSF/ファンタジーやアメコミ映画版が大安売りになってしまい、誠に有難くない。優れた作品が数々生れている一方、本数が少なければもっと感動できるだろうにと、SF映画に希少価値があった時代に成長した僕ら世代の映画ファンは共通して思うのではないだろうか?
SF映画が「2001年宇宙の旅」(1968年)によりメジャー映画における市民権を得てはいたものの、僕がティーンエイジャーの時観られたSF映画と言えば「猿の惑星」(1968年)の出来の悪い続編群や、ユル・ブリンナーが出た「ウエストワールド」、さもなくばジュール・ヴェルヌの映画化くらいで、他にもあることはあっても出来栄えが伴うものは限られていた。
そんな時代に「スター・ウォーズ」の後に現れた本作が、メジャー映画が大々的に作るスーパーヒーローものの最初の一作だった。僕はもう大学生だったが、興味は絶大で、出来栄えも非常に良く、見事に大人向けのレベルに達していると感心したものだ。
宇宙のどこかにある惑星クリプトン星が滅びる直前、科学者の議員ジョー=エル(マーロン・ブランドー)が、赤子のカル=エルを地球に送り出す。地球に届いたカプセルから出て来た赤子は田園地帯の熟年ケント夫婦に拾われ、クラークと名付けられて成長する。
大学時代に北極に向い、幻の父親から色々と知恵を授けられた後メトロポリス(ニューヨークもどき)にあるデイリー・プラネット新聞社に入社、美人記者ロイス・レイン(マーゴット・キダー)と色々絡み合いながら、彼女を含めた人々のピンチを助けていく。
アメリカ陸海軍によるロケット発射実験を利用してカリフォルニアの大断層に直撃させてカリフォルニアを我が支配下におこうと考える天才科学者レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)は、スーパーマンの存在を知ると敢えて彼を自分の基地に呼び寄せ、予め邪魔者を排除しようと画策する。
こんなお話で、今回観たのはオリジナル版より8分長いディレクターズ・カット版。どこが長くなったのか全く解りません。
クラーク・ケントがスーパーマンとして大々的に活躍する部分は、SFXだからではなく合成技術が必ずしも満点ではない為に(当時の感覚でも)物足りないところがあるものの、やはり大のご馳走である。SFXの足りない部分は寧ろ我々の想像力を却って刺激し、地震で途切れた線路の代りになったり、ダムから流れ出した大水を崖を崩してせき止めるといった場面が誠に楽しい。シンプルだから面白味が直球的に伝わって来る。一見しょぼくても僕は断然(VFXではなく)SFXが好きだ。
華美な場面が好きな方には退屈かもしれない前半がなかなか良い。育ての親との関係や大学時代のエピソードに牧歌的で捨てがたい味がある。
スーパーマンがロイス・レインと空の旅をするところのロマンティシズムも素晴らしい。この後21世紀になって大量にスーパーヒーローものが作られるが、これに優るロマンティックなシーンはないと思う。
現在ワールド・シリーズ第5戦進行中。ドジャーズに勝ってほしい気が強くなったが、僕のスーパーヒーローはずっと松井秀喜なので、ヤンキーズに頑張って貰いたい気もする。今日ドジャーズが負けると、山本由伸が先発する第6戦が行われるので、少々複雑な心境ではある。その場合プレッシャーのかかる山本投手には良いピッチング(5回以上で2失点以内)を期す。勝敗は二の次。
この記事へのコメント
そうなんですよ! この楽しみがなくなってしまいましたよね。
わたしたちの世代は子どもの頃はこういう映画がいっぱい見られたので、ラッキーだった! と思います。
ざんねんながら、アメリカ映画はCGが発達するのと並行しておはなしがおもしろくなくなっていってますしね(言い切ると怒られそうだけど)
>アメリカ映画はCGが発達するのと並行しておはなしがおもしろくなくなっていってますしね(言い切ると怒られそうだけど)
昔の映画を知らない人やCGの華美に参っている人は感じないでしょうが、断言しても良いと思いますよ。
特にCGに頼り切っていた2000年前後がひどかった。その後マーヴェル・コミック映画が出て来て、まあ盛り返したのですけど、総じて面白くないです。
間抜けな部下がプールから出るルーサー(ジーン・ハックマン)にバスローブを着せる場面は笑えました。バスローブの下部がびしょ濡れ。怒るルーサー。
>育ての父親
かつてのスター俳優グレン・フォードでしたね。
他にも懐かしい俳優がたくさん出ている映画。スザンナ・ヨーク、マリア・シェル、トレヴァー・ハワード、ハリー・アンドリューズなどなど。
>間抜けな部下
ネッド・ビーティー。この頃重用されていました。