映画評「ライド・オン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年香港=中国合作映画 監督ラリー・ヤン
ネタバレあり

近年のジャッキー・チェン主演作は愚作が多くてがっかりの連続だったが、これは欠点はあるものの、そう悪くない。

友人の借金のカタとして愛馬チートゥを奪われそうになっている元スタントマンのチェンが、妻と離婚して幼い時に別れ疎遠となっている娘リウ・ハオツンに助けを求める。法学部の学生である彼女は一度は冷たく突き放すが、思い直して先輩で恋人の新人弁護士グオ・チーリンに立てて訴訟に持ち込もうと一案する。
 他方、チェンは弟分のコネでチートゥと共にスタントマンとして復活、老骨に鞭を打って奮闘する。娘としての愛情に目覚めたハオツンは法律の知識を生かして契約書のチェックをしたりする。それが甘くてチェンとチートゥを危険な目に遭わせたりして父娘共に悄然。
 別の仕事で落馬して重傷を負ったチェンは、娘にスタント引退を誓うが、そうは単純に行かないのは定石通り。結局限界を知って今度は本当に引退するも、起こした訴訟は敗訴、チートゥを債権者に奪われてしまう。
 娘が債権者のCEOの元に駆けつける。さてCEOはどう出るか。

人情に弱い僕でも、チェンと馬、父と娘の情を重ねる人情路線が些か過剰でその為に125分という長尺となった点を良しとはしかねるが、チェンの旧作を主人公のスタントとして繰り出すのは半世紀近く付き合ってきた身としては感慨を覚えずにはいられない。
 総決算的な作品として★一つ分を余分に進呈します。

老骨に鞭を打って頑張るチェンのアクションは、昔と違って、ショットを短めにするといったカメラ操作で誤魔化しているところが多いものの、梯子などの小道具を使ったアクションはチェンらしくて嬉しくなる。

昔の名前で出ています、か。それはともかく、香港がすっかり本土と一体化した今、中国との合作という扱いは馬鹿げている気がしますね。

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