映画評「東京・ソウル・バンコック 実録麻薬地帯」
☆☆★(5点/10点満点中)
1972年日本=韓国=香港=タイ合作映画 監督・中島貞夫
ネタバレあり
東映アクションにハードボイルドは期待できないようで、本作も大いに情が絡んでどうも甘ったるいが、「ボディガード」シリーズ2本よりお話の骨格だけはがっちりしている。残念なことに、それほどきちんとしているわけではない。
ダンプ野郎・千葉真一は、新婚旅行先のソウルで夫・松方弘樹と共に交通事故死した妹の遺骨を引き取りに出かけ、様子を伺ううちにどうも事故死というのは偽りらしいと直感し、案の定松方が生きていることを掴む。麻薬粗みで日本の物産会社に利用され殺されそうになった彼が妻と共に死んだように偽装したらしく、香港、バンコックへと逃げる彼を千葉が追う。
現地には妹を麻薬で廃人同様にされたチャイヤ・スリヤンがいて、当初は麻薬禍をもたらした同じ日本人として千葉を敵視するが、互いに復讐の構図の中にいる男たちがいずれも物産会社という巨悪の犠牲者であることに気付いて、復讐する相手を大企業に変え、日本に向う。
軍事政権だった韓国、英国統治下の香港、そしてタイに大々的にロケを敢行したところが見どころで、出て来る車が殆ど日本車であるのが、この時代の車をよく記憶している僕には懐かしく思えた。
お話の中心はバンコクで、今回の千葉はただのダンプ野郎だから格闘アクションは殆どなく、被弾ならぬ避弾の様子が見せ場となっていて、その点ではかなり地味である。
「北北西に進路を取れ」のようなセスナ機からの攻撃があるが、中島貞夫監督の洒落っ気が足りない。パクリでも良いから、あの映画のようにセスナを扱えばもっとサスペンスフルになったのに。
昭和中期に生を授かった映画ファンには、タイのお嬢さん役としてブルース・リー映画でお馴染みノラ・ミャオが出ているのが大収穫。松岡が妻より前から強く愛していた韓国女性役に金昌淑。
結果的にノラ・ミャオが日本に初めて紹介されたのはこの映画ということになるらしい。知らなかったなあ。
1972年日本=韓国=香港=タイ合作映画 監督・中島貞夫
ネタバレあり
東映アクションにハードボイルドは期待できないようで、本作も大いに情が絡んでどうも甘ったるいが、「ボディガード」シリーズ2本よりお話の骨格だけはがっちりしている。残念なことに、それほどきちんとしているわけではない。
ダンプ野郎・千葉真一は、新婚旅行先のソウルで夫・松方弘樹と共に交通事故死した妹の遺骨を引き取りに出かけ、様子を伺ううちにどうも事故死というのは偽りらしいと直感し、案の定松方が生きていることを掴む。麻薬粗みで日本の物産会社に利用され殺されそうになった彼が妻と共に死んだように偽装したらしく、香港、バンコックへと逃げる彼を千葉が追う。
現地には妹を麻薬で廃人同様にされたチャイヤ・スリヤンがいて、当初は麻薬禍をもたらした同じ日本人として千葉を敵視するが、互いに復讐の構図の中にいる男たちがいずれも物産会社という巨悪の犠牲者であることに気付いて、復讐する相手を大企業に変え、日本に向う。
軍事政権だった韓国、英国統治下の香港、そしてタイに大々的にロケを敢行したところが見どころで、出て来る車が殆ど日本車であるのが、この時代の車をよく記憶している僕には懐かしく思えた。
お話の中心はバンコクで、今回の千葉はただのダンプ野郎だから格闘アクションは殆どなく、被弾ならぬ避弾の様子が見せ場となっていて、その点ではかなり地味である。
「北北西に進路を取れ」のようなセスナ機からの攻撃があるが、中島貞夫監督の洒落っ気が足りない。パクリでも良いから、あの映画のようにセスナを扱えばもっとサスペンスフルになったのに。
昭和中期に生を授かった映画ファンには、タイのお嬢さん役としてブルース・リー映画でお馴染みノラ・ミャオが出ているのが大収穫。松岡が妻より前から強く愛していた韓国女性役に金昌淑。
結果的にノラ・ミャオが日本に初めて紹介されたのはこの映画ということになるらしい。知らなかったなあ。
この記事へのコメント