映画評「狼の紋章」
☆☆(4点/10点満点中)
1973年日本映画 監督・松本正志
ネタバレあり
1974年「愛と誠」が作られ(梶原一騎原作劇画の映画化)、不良学園ものなるジャンルが邦画界に出来上がる基礎となったと思われるが、それに先行する不良学園もの。但し、こちらは狼男ものの要素のほうが重要なホラー映画である。
原作は平井和正。高校生の頃豊田有恒と並んで、短編集を読み漁ったSF小説家だ。星新一からこのジャンルに入った僕は長編には余り興味がなかった。
アラスカで日本人研究家の両親を殺された為日本に戻って成長した少年・犬神明(志垣太郎)が、暴力団羽黒組組長の息子・獰(松田優作)が君臨する私立高校に編入される。
実は狼男である明は非暴力主義だが、学校の暴力反対派にも与せず、美人の担任教師晶子(安芸晶子)の心配も無視して、我が道を貫く。
獰も自らは彼に暴力で向かおうとせず、最初から敵にならない子分に好きにさせる程度で、ライバルから襲って来る作戦を立て、彼の蘇生力や抵抗力の衰える新月の日に、晶子を襲撃する。
案の定犬神明はやって来て打ちのめされ、殆ど息絶えなんという時に彼女の瞳を月に見立てて復活する。
冒頭に述べたように、不良学園ものに狼男ものの要素を加えたところが面白味になるのだろうが、感心するほどの趣向はない。
エログロが流行していた1970年代前半の映画らしく、必要もない(?)エロ場面が散りばめられているのに苦笑が洩れるし、格闘場面も受け身に徹する志垣太郎が相手の攻撃をかわす見せ方に面白味がある程度で大したことがない。
何よりいけないのは、狼男の顔面が露骨に被りものに過ぎないこと。10年近く後の「ハウリング」「狼男アメリカン」のようなわけには行かないにしても、同時代的にも恐らく呆れられるレベルで、もう少しそれらしく見せる工夫が必要だったろう。
松田優作の映画デビュー作という記念碑的な意味に留まると言われても仕方がない出来栄え。
松田優作と言えば、最近スマホのCMで聞くあの声はAI製なのかな?
1973年日本映画 監督・松本正志
ネタバレあり
1974年「愛と誠」が作られ(梶原一騎原作劇画の映画化)、不良学園ものなるジャンルが邦画界に出来上がる基礎となったと思われるが、それに先行する不良学園もの。但し、こちらは狼男ものの要素のほうが重要なホラー映画である。
原作は平井和正。高校生の頃豊田有恒と並んで、短編集を読み漁ったSF小説家だ。星新一からこのジャンルに入った僕は長編には余り興味がなかった。
アラスカで日本人研究家の両親を殺された為日本に戻って成長した少年・犬神明(志垣太郎)が、暴力団羽黒組組長の息子・獰(松田優作)が君臨する私立高校に編入される。
実は狼男である明は非暴力主義だが、学校の暴力反対派にも与せず、美人の担任教師晶子(安芸晶子)の心配も無視して、我が道を貫く。
獰も自らは彼に暴力で向かおうとせず、最初から敵にならない子分に好きにさせる程度で、ライバルから襲って来る作戦を立て、彼の蘇生力や抵抗力の衰える新月の日に、晶子を襲撃する。
案の定犬神明はやって来て打ちのめされ、殆ど息絶えなんという時に彼女の瞳を月に見立てて復活する。
冒頭に述べたように、不良学園ものに狼男ものの要素を加えたところが面白味になるのだろうが、感心するほどの趣向はない。
エログロが流行していた1970年代前半の映画らしく、必要もない(?)エロ場面が散りばめられているのに苦笑が洩れるし、格闘場面も受け身に徹する志垣太郎が相手の攻撃をかわす見せ方に面白味がある程度で大したことがない。
何よりいけないのは、狼男の顔面が露骨に被りものに過ぎないこと。10年近く後の「ハウリング」「狼男アメリカン」のようなわけには行かないにしても、同時代的にも恐らく呆れられるレベルで、もう少しそれらしく見せる工夫が必要だったろう。
松田優作の映画デビュー作という記念碑的な意味に留まると言われても仕方がない出来栄え。
松田優作と言えば、最近スマホのCMで聞くあの声はAI製なのかな?
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