映画評「ロスト・ワールド」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1925年アメリカ映画 監督ハリー・O・ホイト
ネタバレあり

アーサー・コナン・ドイルによる有名なSF小説の初めての本格的映画化。

IMDb による上映時間は110分とかなり長いが、 統計を取るとサイレント映画の同時代的な上映時間は現在正規のスピードで上映したものより10%前後長いので実質的に95分くらいではないか。 Allcinema の50分は日本初公開時の上映時間かも知れず、ひどく短い。
 今回観たプライムビデオや日本で発売されているDVDは68分で、30分がところ短い計算になる。そのせいか、全体の流れは理解できるものの、シークエンスがうまく繋がっていないところがある。

ウォーレス・ビアリーの教授が、アマゾンで恐竜を発見した後置き去りにしてしまった探検家を救援すべく、その娘ベッシー・ラヴ、彼女に求愛している貴族リュイス・ストーン、最終的に資金提供元となる新聞社の記者ロイド・ヒューズらを率いて再びアマゾン奥地を行き、今回も様々な恐竜に遭遇する。

人間のドラマはあっても、見せ場は恐竜の数々によるスペクタクルである。出番が多いのは僕らが子供の時に一番有名だったブロントサウルス(当時はザウルスと濁音で言っていましたな)で、続いてアロサウルス。現在ならティラノサウルスになるところだが、100年前はこちらのほうが有名だったのだろう。
 これらはストップモーション・アニメで登場するが、30年後くらいの大家レイ・ハリーハウゼンと比べても大して遜色がない。画質の悪いおかげもあり、人間その他との画面合成も不自然さがない。
 敢えて高級な注文を付けるなら、登場人物の主観ショットとなるべきショットが少しも主観らしく扱われていないことである。

ストップアニメーション担当はウィリス・オブライエン。この映画の終盤をそのまま展開させたような「キング・コング」(1933年)で大活躍する人で、ハリーハウゼンの師匠に当たる。
 この終盤は、東宝が1954年に出した「ゴジラ」にも繋がっているように思われる。お話全体は「ジュラシック・パーク」シリーズに拡大的に進展し、第2作はその名も「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」だった。

大正14年に日本で公開されているが、邦題に「・」が使われている。この頃には連続する英単語に対してこうした表記が定着していたようだ。明治時代のある時までは「シャーロック、ホームズ」だったりした。試行錯誤した結果が「・」であり、現在まで定着している。現在明治時代に回帰したように時々半スペースで表現する連中もいるが、あれは良くない。

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