映画評「『されどわれらが日々』より 別れの詩」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1971年日本映画 監督・森谷司郎
ネタバレあり
WOWOWのパンフレットにはただ「別れの詩」とあり、監督がこの頃アイドル俳優を使った青春映画をずっと撮っていた森谷司郎と知って観始めたが、何と柴田翔の芥川賞受賞作「されどわれらが日々」の不完全な映画化であり、映画サイト等では「「されどわれらが日々」より 別れの詩」と角書きが付いている。
小説は50年程前高校生の時に読んでなかなか感動した記憶があるが、何に感動したか、どころかお話もまるで憶えていない。文庫本を引っ張り出して調べたところ、登場人物の名前は一人も共通しない。こういうのは珍しい。
本作のヒロイン康子(小川知子)は、原作の節子に当たる。原作と名前が共通しないので、いつも僕の映画評通り俳優名でお話を略記する。
彼女は、公務員の山口崇を事実上の婚約者としているが、学生運動をしていたかつての恋人・高橋長英が自殺したと知り、安穏とした自分の現在に疑問を覚える。
その頃同僚の藤田みどりは、妻子ある北村和夫と不貞の関係にあり、細君と会った後急激に空しいものを覚え、退職し故郷に帰った後奇遇にも山口の友人と見合い結婚することにする。
真の恋愛について深く思いを巡らしたヒロインは一度気持ちを整理するつもりで、婚約指輪を置いて、学校の英語教師として東北に向う。
恐らく、当時歌手として人気のあった小川知子や二枚目俳優・山口崇を観に行った観客は恋愛映画と見ただろうが、厳密には恋愛感情を重要要素とした人間劇である。
僕も「ゆうべの秘密」「初恋のひと」というご贔屓にする歌を歌った小川知子の名前から、もっと甘いメロドラマを予想したが、実際には純然たる純文学とは言えないまでも、およそ大衆向けとは言えない至極真面目な作品であった。
この時代流行ったらしいソラリゼーションを使ったり、途中ATGっぽい雰囲気すら漂わせ、作者たちが一生懸命作ろうとしたことは伺われる(藤田みどりの台詞が二つのシーンにまたがって使われるところがなかなか面白い)ものの、やはり有名俳優の華やかなイメージに足を引っ張られるところがある。
小川知子は当時22歳くらいと若い為学生運動は同時代のそれに見えてしまうが、彼らが関わったのは60年の安保闘争のはずで、どうも落ち着かない。山口崇(扮する人物)が過去の苦い過去を回想するモノクロ場面で小椋佳の「木戸を開けて」を歌うが、これも厳密には違和感を伴う。音楽担当の一人に(当時小椋佳や井上陽水をプロデュースした)多賀英典を使った悪影響と言うべし。
しかし、アイドル歌手として売れっ子だった小川知子が(ボディダブルと思われるが)ヌードを伴う愛欲場面を演ずるなど頑張ってい、映画的ムードも悪くないので、☆★を多めにしておきます。
実は昭和40年代の歌謡曲が大好き。
1971年日本映画 監督・森谷司郎
ネタバレあり
WOWOWのパンフレットにはただ「別れの詩」とあり、監督がこの頃アイドル俳優を使った青春映画をずっと撮っていた森谷司郎と知って観始めたが、何と柴田翔の芥川賞受賞作「されどわれらが日々」の不完全な映画化であり、映画サイト等では「「されどわれらが日々」より 別れの詩」と角書きが付いている。
小説は50年程前高校生の時に読んでなかなか感動した記憶があるが、何に感動したか、どころかお話もまるで憶えていない。文庫本を引っ張り出して調べたところ、登場人物の名前は一人も共通しない。こういうのは珍しい。
本作のヒロイン康子(小川知子)は、原作の節子に当たる。原作と名前が共通しないので、いつも僕の映画評通り俳優名でお話を略記する。
彼女は、公務員の山口崇を事実上の婚約者としているが、学生運動をしていたかつての恋人・高橋長英が自殺したと知り、安穏とした自分の現在に疑問を覚える。
その頃同僚の藤田みどりは、妻子ある北村和夫と不貞の関係にあり、細君と会った後急激に空しいものを覚え、退職し故郷に帰った後奇遇にも山口の友人と見合い結婚することにする。
真の恋愛について深く思いを巡らしたヒロインは一度気持ちを整理するつもりで、婚約指輪を置いて、学校の英語教師として東北に向う。
恐らく、当時歌手として人気のあった小川知子や二枚目俳優・山口崇を観に行った観客は恋愛映画と見ただろうが、厳密には恋愛感情を重要要素とした人間劇である。
僕も「ゆうべの秘密」「初恋のひと」というご贔屓にする歌を歌った小川知子の名前から、もっと甘いメロドラマを予想したが、実際には純然たる純文学とは言えないまでも、およそ大衆向けとは言えない至極真面目な作品であった。
この時代流行ったらしいソラリゼーションを使ったり、途中ATGっぽい雰囲気すら漂わせ、作者たちが一生懸命作ろうとしたことは伺われる(藤田みどりの台詞が二つのシーンにまたがって使われるところがなかなか面白い)ものの、やはり有名俳優の華やかなイメージに足を引っ張られるところがある。
小川知子は当時22歳くらいと若い為学生運動は同時代のそれに見えてしまうが、彼らが関わったのは60年の安保闘争のはずで、どうも落ち着かない。山口崇(扮する人物)が過去の苦い過去を回想するモノクロ場面で小椋佳の「木戸を開けて」を歌うが、これも厳密には違和感を伴う。音楽担当の一人に(当時小椋佳や井上陽水をプロデュースした)多賀英典を使った悪影響と言うべし。
しかし、アイドル歌手として売れっ子だった小川知子が(ボディダブルと思われるが)ヌードを伴う愛欲場面を演ずるなど頑張ってい、映画的ムードも悪くないので、☆★を多めにしておきます。
実は昭和40年代の歌謡曲が大好き。
この記事へのコメント