映画評「男と女」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1966年フランス映画 監督クロード・ルルーシュ
ネタバレあり

先日ウッディー・アレン監督「サン・セバスチャンへ、ようこそ」でオマージュを捧げられた映画のうちこの作品だけ当ブログにアップしていないことに気付いた。
 前回も述べたように恐らく2002年頃に観た(多分3回目の鑑賞)ばかりだったので、2005年に始めたブログで取り上げないうちにもうアップした気になっていたのだ。
 このシリーズ(?)の最終作「男と女 人生最良の日々」、あるいは明らかに類似する「アンヌとアントワーヌ 愛の前奏曲」を観ていたのも混乱に拍車をかけた。

ところで、最終作は即ち第3作ということだが、僕の感覚ではもっと作られている印象がある。日本の配給会社が「男と女」に拘った邦題を付けるのも悪い。正式な続篇「続・男と女」の外、僕に混乱をもたらした作品群を挙げると、「男と女の詩」「マイ・ラブ」「男と女II」「男と女 アナザー・ストーリー」がある。ルルーシュ本人にしても本作の成功にかなり頼った映画監督人生だったと思う。

撮影中の事故でスタントマンの夫を失ったアヌーク・エーメが娘に、自らの事故が原因で妻を失ったカーレーサーのジャン=ルイ・トランティニャンが息子に、それぞれ会いに行った施設で出会い、程なく恋に落ちる。
 彼女は、モンテカルロ・ラリーで優勝した彼に対して愛の告白を綴った電報を送るも、まだ夫への愛は醒めていず、思ったようには結びつかない。

というお話で、とにかく、モノクロとカラーとを半々くらいに使ったルルーシュのフォトジェニックな画面と、フランシス・レイの音楽が素晴らしい。
 台詞を使わずに音楽と画面だけで見せると、現在ではPVやMVみたいと貶されることもあるが、この映画の場合、画面と音楽がシナジーを生んでそれはそれは素晴らしい映画的ムードを醸成、観ているものを陶酔させる。

幕切れが良い。
 アヌークが電車で自宅に向う。トランティニャンがラリーにも使った愛車ムスタングを駆って駅に先回りする様子をクロス・カッティングで綴り、その間隔が徐々に短くなる。
 駅で彼女が彼に気付き、二人は抱き合う。これをルルーシュは、ミケランジェロ・アントニオーニの如くカメラを回して撮る。今となっては珍しくもない手法だが、やはり痺れます。

50年程前初めてTVの洋画劇場の吹替版を観た時、モノクロとカラーの使い分けの理由を考えたが、どうにも規則性がない。後年知ったことには、お金がないので当時は安かったモノクロで撮ったということらしい。しかし、それが実に素晴らしい効果を生んだ。怪我の功名というやつでしょうか。

1980年代中頃だったろうか、カラー映画の褪色が問題になってモノクロ映画がちょっと沙汰されたが、その頃は既にモノクロ・フィルムは高かったのだ。

この記事へのコメント

2025年03月02日 13:18
このフランシス・レイの曲は、映画「男と女」見てない人も知っていそうですよね。音楽と映像、その流れ、映画そのものみたいな映画でした。
2025年03月02日 15:53
2006年に記事にしておりまして、TB代わりにリンクさせておきますネ。
記事のずっと前にTVの字幕放送で観たけれどさっぱり感動しなかったのに、再見で感心したと書いております。

ルルーシュだから映像が素晴らしいけど、音の使い方も宜しかったと・・・。
かずき
2025年03月02日 18:01
オカピーさん、こんにちは。

うわあ、二日連続で大好きな映画だ!
これは大人向けの恋愛映画でムード抜群でしたね。
モノクロやセピアの画面も、音楽も素晴らしかったです。
レーサーの主人公が走る場面も迫力ありました。
オカピー
2025年03月02日 20:33
nesskoさん、こんにちは。

>音楽と映像、その流れ、映画そのものみたいな映画でした。

ルルーシュの画面もフォトジェニックで最高ですが、フランシス・レイの音楽も素敵でした。
これが合わさることでさらに映画的なムードを生み出し、痺れますねえ。
オカピー
2025年03月02日 20:36
十瑠さん、こんにちは。

>記事のずっと前にTVの字幕放送で観たけれどさっぱり感動しなかったのに、再見で感心したと書いております。

そういう変化はままありますね。

>音の使い方も宜しかったと・・・。

感覚だけではなく、ちゃんと計算もされていました。
オカピー
2025年03月02日 20:43
かずきさん、こんにちは。

>これは大人向けの恋愛映画でムード抜群でしたね。

プロットが短編映画のように単純で、純度が高いのが良かったですね。

>モノクロやセピアの画面も、音楽も素晴らしかったです。

それを生かしたのが、優れたセンスの画面と音楽。両者の相乗効果でぐっと印象深いものになりました。

>レーサーの主人公が走る場面も迫力ありました。

レースを扱った映画(20選くらいなら)に選んでも良い感じです。