映画評「十二哩の暗礁の下に」
☆☆★(5点/10点満点中)
1953年アメリカ映画 監督ロバート・D・ウェッブ
ネタバレあり
プライムビデオにて鑑賞。
中級作品であり、鑑賞済作品であるから、昔のVHS並みの画質の本作を敢えて再鑑賞するには及ばないのだが、諸事情で観ることにした。さらに運の悪いことにシネマスコープ(ごく初期のもの。54年になって本格化する)を4:3の画面に収めているので、バストショット以上にならないと顔が識別しにくいという状態。
ロケでの撮影が得意で選ばれたらしい撮影監督出身のロバート・D・ウェッブなる監督は、人物が出て来る画面ではフルショット(人の全身が丁度画面に収まる距離のショット)とミディアムショット(それも遠めのウェストショット)しか使わないので、その画質の悪さが余計目立つ。
フロリダの沿岸で、海綿を取るギリシャ系と英国系が争奪戦を繰り広げるうち、ギリシャ側の美男子ロバート・ワグナーと英国側の美人テリー・ムーアが恋に落ちる。
つまり、「ロミオとジュリエット」の漁師版であるが、英国側に母親がなく、ギリシャ側が父を漁中の事故で失うので、かのシェイクスピア作品ほどこんがらかることはない。
ギリシャ父が苛酷な仕事の末に死ぬ代わりに英国側のちょっかいで亡くなればもっとややこしくなっただろうが、本作の眼目は海中をスクリーンに再現することにあるので、そこまでの葛藤劇にするのは避けていて、これは賢明であっただろう。
とは言え、高級海綿の争奪戦を軸にしたお話が凡庸であることに変わりなく、海中の様子を楽しむのが一番ということになる。
海中は恐らくロケではなく、巨大なプールに岩やら海藻やら魚群を放って撮ったものと推測されるので、(現在の観客については論ずるまでもなく)当時でも水族館を伺ったことのある方には有難味がなく、水族館に行ったことがなかった人のみに鑑賞価値があったと思われる。
その画面が先述したようにボケボケだからプライムビデオ版は目の保養の為の鑑賞には向かない。DVD版もあるが、廉価版でどうも本作と同じレベルと推測される為、お話が解れば良いと思われる方だけどうぞ。
アップがないので、ロバート・ワグナーのファンはがっかりじゃろ。哩はマイルと読みます。
1953年アメリカ映画 監督ロバート・D・ウェッブ
ネタバレあり
プライムビデオにて鑑賞。
中級作品であり、鑑賞済作品であるから、昔のVHS並みの画質の本作を敢えて再鑑賞するには及ばないのだが、諸事情で観ることにした。さらに運の悪いことにシネマスコープ(ごく初期のもの。54年になって本格化する)を4:3の画面に収めているので、バストショット以上にならないと顔が識別しにくいという状態。
ロケでの撮影が得意で選ばれたらしい撮影監督出身のロバート・D・ウェッブなる監督は、人物が出て来る画面ではフルショット(人の全身が丁度画面に収まる距離のショット)とミディアムショット(それも遠めのウェストショット)しか使わないので、その画質の悪さが余計目立つ。
フロリダの沿岸で、海綿を取るギリシャ系と英国系が争奪戦を繰り広げるうち、ギリシャ側の美男子ロバート・ワグナーと英国側の美人テリー・ムーアが恋に落ちる。
つまり、「ロミオとジュリエット」の漁師版であるが、英国側に母親がなく、ギリシャ側が父を漁中の事故で失うので、かのシェイクスピア作品ほどこんがらかることはない。
ギリシャ父が苛酷な仕事の末に死ぬ代わりに英国側のちょっかいで亡くなればもっとややこしくなっただろうが、本作の眼目は海中をスクリーンに再現することにあるので、そこまでの葛藤劇にするのは避けていて、これは賢明であっただろう。
とは言え、高級海綿の争奪戦を軸にしたお話が凡庸であることに変わりなく、海中の様子を楽しむのが一番ということになる。
海中は恐らくロケではなく、巨大なプールに岩やら海藻やら魚群を放って撮ったものと推測されるので、(現在の観客については論ずるまでもなく)当時でも水族館を伺ったことのある方には有難味がなく、水族館に行ったことがなかった人のみに鑑賞価値があったと思われる。
その画面が先述したようにボケボケだからプライムビデオ版は目の保養の為の鑑賞には向かない。DVD版もあるが、廉価版でどうも本作と同じレベルと推測される為、お話が解れば良いと思われる方だけどうぞ。
アップがないので、ロバート・ワグナーのファンはがっかりじゃろ。哩はマイルと読みます。
この記事へのコメント
本編の内容とはあまり関係ない重箱の隅にいちゃもんをつける様な事で申し訳ないのですが…
マイルは陸上の距離で海上の距離はシーマイルだったと記憶していますが、水深の単位はどちらなんでしょう?
子供の頃に読んだあれ、えーっと、ネモ船長の出てくるあれ! 最近言葉が出てこない…
そうそう 「海底2万マイル」
という事は水深はマイルなのかとwikiを当たったら、昔の日本人が勝手にマイルにしてしまったみたいですね。
何の役にもたたないけれど、ちょっと賢くなった気分です。
>マイルは陸上の距離で海上の距離はシーマイルだったと記憶していますが、水深の単位はどちらなんでしょう?
水深も海上と同じではないかと思いますが、この映画の12マイルは水深ではなく、暗礁の長さや幅のこと(丸なら直径)でしょう。
その意味では、
>「海底2万マイル」
のマイルもオリジナルの単位も深さではなく、潜航距離でしょう^^v