映画評「リオ・グランデの砦」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督ジョン・フォード
ネタバレあり

ジョン・フォードの騎兵隊3部作の最後の作品。「黄色いリボン」を飛ばして再鑑賞することにした。
 と言うのも、第1作「アパッチ砦」に出て来たジョン・ウェインのカービー・ヨークが大尉から中佐に昇進して再登場、明らかな続編として作られているからである。ヴィクター・マクラグレンは相変わらず曹長のまま。

今回のウェインのヨーク中佐は、「アパッチ砦」で娘を連れて来た司令官ヘンリー・フォンダに似た立場で、砦に息子のジェフ(クロード・ジャーマン・ジュニア)を迎える。息子であるから兵士として迎えるところが大いに違うが、子供に対して厳しい態度を取るのは近い。但し、俳優としての性格の違いも考慮されたのであろうか、中佐がそこはかとなく親バカぶりを見せるところがある。
 しかも、そこへ士官学校を落第して兵隊として勝手に軍に加わったのを心配する母親モーリン・オハラがやって来るので、作品の性格はいよいよホーム・ドラマ的になってくる。

さらに異色なのは、カントリー・グループのサンズ・オブ・ザ・パイオニアーズが再三登場して歌を披露する。フォードは西部劇でも歌曲を有効に使った作家だが、ここまで音楽映画的なのは他に例がない筈である。

それ以外の感想は「アパッチ砦」と大体同じ。
 アパッチとの戦いを再び描く為に出て来る同じ場所の西部は、シャープなモノクロで、人の闘いなど知らないかのように泰然とそこに存在する。それを撮影監督バート・グレノンの力を得て、フォードがリリカルに捉えている。「アパッチ砦」のアーチ―・スカウトも第2班で参加しているので、あるいは彼の貢献だろうか? 
 同じく騎馬アクションも凄い。アパッチとの戦いで落馬などする見事なスタントは感嘆に値する。やって来た新兵たちがローマ式という二頭の馬の背に両足を乗せもの凄いスピードで駆ける妙技を見せる場面は、序盤のアクションのハイライトと言うべし。それをベン・ジョンスンとハリー・ケリー・ジュニアはスタントマンを使わずに自らこなしているらしい。勇気もさることながら技術に感心する。

現在の映画のだらしなさを考えたら、☆一つ分余分に与えたくなる出来栄え。

クロード・ジャーマン・ジュニアは「仔鹿物語」の少年。ちょうど2か月前に亡くなりましたね。

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