映画評「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年アメリカ映画 監督エマ・ウェステンバーグ
ネタバレあり
四十代の男性ユアン・マクレガーと二十歳くらいの娘クララ・マクレガーが男の運転する車で西部の田舎を旅している。親子だろうという推測は勿論正解だったが、余り似ていないと思いつつ観ていた。ところが、親子を演ずる二人は苗字でも解るように本当の親子であった。あらら。
実際の父娘俳優が共演するロード・ムービーと言えば、ピーター・ボクダノヴィッチ監督の「ペーパー・ムーン」(1973年)という名作があるが、さすがにあの作品には大分及ばない。年齢の差こそあれ、心に隔たりのある父娘がそれを取り払っていくという映画の最終目的地は似ている。
こちらの父は、アルコール依存症の娘を離婚した前妻から頼まれるような形で、娘に黙って治療施設に彼女を連れて行くのであるが、娘が大分前に同じく依存症の父に棄てられたという思いと、依存症の為に心に荒んだものを持っている為途中に波乱が生じ、旅の目的を知った娘が夜モーテルから抜け出て、それを父親が探し回るというエピソードがある。
彼女が知り合う不良カップルやトレーラーハウスの連中との描写がいかにもアメリカ的で、とりわけ後者の描写にロード・ムービーらしい味があって悪くないが、車を使っての二回の移動の後に父娘が無事に再会できるのは奇跡と言うべし(皮肉ですよ)。
この後ムード優先の描写を経て娘は覚悟を決めて遂に施設に入るわけだが、これは同時にかつてはダメ親父だったが改心したらしい父親の思いを娘が理解したことをも意味する描写になってい、なかなか宜し。
映画としてはムードではなくもう少し具体的な事柄により娘の決意を示したほうが良かったように思うが、かく優先したムード自体が良いのでこれはこれで捨てがたい。
先週の土曜日、車を駆って、昔の同僚二人に25年ぶりに会ってきました。行きも帰りも道を間違えあたふたとしましたが、充実した気持ちが。しかし、その後少し精神上の脱力感が出て来まして、幸福感を維持するのはなかなか難しいものと思う。
2023年アメリカ映画 監督エマ・ウェステンバーグ
ネタバレあり
四十代の男性ユアン・マクレガーと二十歳くらいの娘クララ・マクレガーが男の運転する車で西部の田舎を旅している。親子だろうという推測は勿論正解だったが、余り似ていないと思いつつ観ていた。ところが、親子を演ずる二人は苗字でも解るように本当の親子であった。あらら。
実際の父娘俳優が共演するロード・ムービーと言えば、ピーター・ボクダノヴィッチ監督の「ペーパー・ムーン」(1973年)という名作があるが、さすがにあの作品には大分及ばない。年齢の差こそあれ、心に隔たりのある父娘がそれを取り払っていくという映画の最終目的地は似ている。
こちらの父は、アルコール依存症の娘を離婚した前妻から頼まれるような形で、娘に黙って治療施設に彼女を連れて行くのであるが、娘が大分前に同じく依存症の父に棄てられたという思いと、依存症の為に心に荒んだものを持っている為途中に波乱が生じ、旅の目的を知った娘が夜モーテルから抜け出て、それを父親が探し回るというエピソードがある。
彼女が知り合う不良カップルやトレーラーハウスの連中との描写がいかにもアメリカ的で、とりわけ後者の描写にロード・ムービーらしい味があって悪くないが、車を使っての二回の移動の後に父娘が無事に再会できるのは奇跡と言うべし(皮肉ですよ)。
この後ムード優先の描写を経て娘は覚悟を決めて遂に施設に入るわけだが、これは同時にかつてはダメ親父だったが改心したらしい父親の思いを娘が理解したことをも意味する描写になってい、なかなか宜し。
映画としてはムードではなくもう少し具体的な事柄により娘の決意を示したほうが良かったように思うが、かく優先したムード自体が良いのでこれはこれで捨てがたい。
先週の土曜日、車を駆って、昔の同僚二人に25年ぶりに会ってきました。行きも帰りも道を間違えあたふたとしましたが、充実した気持ちが。しかし、その後少し精神上の脱力感が出て来まして、幸福感を維持するのはなかなか難しいものと思う。
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