映画評「生きてるものはいないのか」
☆☆★(5点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・石井岳龍
ネタバレあり
石井岳龍という名前ではまだピンと来ないのだが、かつての石井聰亙が2010年に岳龍の名前で作品発表すると宣言したという経緯がある。この名義で初めて観たのは二階堂ふみ主演の「蜜のあわれ」で、本作がその名義で作った最初の映画ということになる。
原作は前田司郎の戯曲だが、明らかに舞台的な見せ方なので、自ずとそうと知れる内容。
ある大学とその周辺に舞台は限られ、そこの在校生を色々と見せるうち、地下鉄運転士の急死による大事故の報道や大学医学部人体実験にまつわる都市伝説を布石として、学生たちを始め次々と人々が死んでいき、学生街の喫茶店に勤める染谷翔太が一人だけ生き残って呆然とする。
というだけのお話で、尺数を多く取るスリーショットの場面ではコントのようなとぼけた会話が繰り広げられ、くすりと笑わせる。面白いムードはあれども映画としては他愛ない。
それでも、プロローグで病院で病気の少女を捉え、最後に一人生きる染谷を描き、生死の価値観の逆転を打ち出す辺りに文学的な面白味がある。プロローグでは列を組む鳥が、エンディングで(同じ鳥の群れではないが)こぞって落下していくという対照的な画面を配置しているのも映画的に美しいと言うべし。
時間のある方はどうぞ。
NHKのふざけた映画放映に対する態度に加え、WOWOWの邦画比率が高まっているので、邦画が多くなる。近年統計を取っていないが、20年前は20%くらいだったのが今や40%くらいになっている感じがする。お粗末な新作洋画より古い洋画を観たいのに配信に当たっても無料ではめぼしいものが少ない。有料でも僕が観たいものは期待ほどにはない。こういう時が来ると思ってブルーレイに残した昔の映画に未再鑑賞のものがまだまだあるのでそこに当たることが増えて行くだろう。画質を我慢すればDVDもある。
2012年日本映画 監督・石井岳龍
ネタバレあり
石井岳龍という名前ではまだピンと来ないのだが、かつての石井聰亙が2010年に岳龍の名前で作品発表すると宣言したという経緯がある。この名義で初めて観たのは二階堂ふみ主演の「蜜のあわれ」で、本作がその名義で作った最初の映画ということになる。
原作は前田司郎の戯曲だが、明らかに舞台的な見せ方なので、自ずとそうと知れる内容。
ある大学とその周辺に舞台は限られ、そこの在校生を色々と見せるうち、地下鉄運転士の急死による大事故の報道や大学医学部人体実験にまつわる都市伝説を布石として、学生たちを始め次々と人々が死んでいき、学生街の喫茶店に勤める染谷翔太が一人だけ生き残って呆然とする。
というだけのお話で、尺数を多く取るスリーショットの場面ではコントのようなとぼけた会話が繰り広げられ、くすりと笑わせる。面白いムードはあれども映画としては他愛ない。
それでも、プロローグで病院で病気の少女を捉え、最後に一人生きる染谷を描き、生死の価値観の逆転を打ち出す辺りに文学的な面白味がある。プロローグでは列を組む鳥が、エンディングで(同じ鳥の群れではないが)こぞって落下していくという対照的な画面を配置しているのも映画的に美しいと言うべし。
時間のある方はどうぞ。
NHKのふざけた映画放映に対する態度に加え、WOWOWの邦画比率が高まっているので、邦画が多くなる。近年統計を取っていないが、20年前は20%くらいだったのが今や40%くらいになっている感じがする。お粗末な新作洋画より古い洋画を観たいのに配信に当たっても無料ではめぼしいものが少ない。有料でも僕が観たいものは期待ほどにはない。こういう時が来ると思ってブルーレイに残した昔の映画に未再鑑賞のものがまだまだあるのでそこに当たることが増えて行くだろう。画質を我慢すればDVDもある。
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