映画評「リアリティ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2023年アメリカ映画 監督ティナ・サッター
ネタバレあり
2017年頃第1次トランプ政権の誕生はロシアによるハッカーが主因という説が世間で沙汰されたが、どうもこの映画のヒロイン、実在するリアリティ・ウィナーなるアメリカ国家安全保障局(NSA)契約社員のリークが発端らしい。
トランプはよく民主党が票を盗んだと喧伝しているが、実際に票を盗んだのはロシアのハッキングを奇貨としたトランプ側という気がする。今回の関税についてトランプはロシアを除外するなどウクライナ戦争問題を含めてロシア贔屓が過ぎる、と考えると、偶然ではないのかもしれないものの、陰謀説は好きではないのでこの辺でやめておく。
リアリティは実話もの故のタイトルだと思っていたので、人名と知って驚いた。
映画は、FBIの録音を基に、彼女(シドニー・スウィーニー)が国家機密をリークした罪でじわじわと攻めて来るFBI職員(ジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィズら)に逮捕されるまでを綴るもので、ドラマ部分に実際の音声を交えるところに迫力はあるが、脚本家の仕事としてはドラマ部分と実際音の切り替えのタイミングくらいしかなさそうで、こういうのを褒めるのは果たして良いことなのか疑問である。
昨年観たリアルタイム進行の実話もの「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」と同じタイプの作品だが、芸がない感じはこちらのほうが強い。
本作を作ったティナ・サッターはこの記録を舞台化し、それを映画にしたのが本作とのこと。情報保護などの理由で音声が途切れるところで話し手が画面から消えるのは映画的工夫だ。
映画から離れると、既に解決済みの事件とは言え、かかる記録が公開されたことに感心する。他方、トランプ政権は政権と意見を異にするメディアを排除する。どの国であっても、政権は自身の政策や考えに自信があるなら、堂々と構えて反対意見に対峙すべきである。それはともかく、こういう極端な現象が起きるアメリカは妙な国と言わざるを得ない。
実はアメリカの報道自由度は以前から余り高くないが、今回のトランプ政権の態度により来年さらに下がるだろう。
2023年アメリカ映画 監督ティナ・サッター
ネタバレあり
2017年頃第1次トランプ政権の誕生はロシアによるハッカーが主因という説が世間で沙汰されたが、どうもこの映画のヒロイン、実在するリアリティ・ウィナーなるアメリカ国家安全保障局(NSA)契約社員のリークが発端らしい。
トランプはよく民主党が票を盗んだと喧伝しているが、実際に票を盗んだのはロシアのハッキングを奇貨としたトランプ側という気がする。今回の関税についてトランプはロシアを除外するなどウクライナ戦争問題を含めてロシア贔屓が過ぎる、と考えると、偶然ではないのかもしれないものの、陰謀説は好きではないのでこの辺でやめておく。
リアリティは実話もの故のタイトルだと思っていたので、人名と知って驚いた。
映画は、FBIの録音を基に、彼女(シドニー・スウィーニー)が国家機密をリークした罪でじわじわと攻めて来るFBI職員(ジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィズら)に逮捕されるまでを綴るもので、ドラマ部分に実際の音声を交えるところに迫力はあるが、脚本家の仕事としてはドラマ部分と実際音の切り替えのタイミングくらいしかなさそうで、こういうのを褒めるのは果たして良いことなのか疑問である。
昨年観たリアルタイム進行の実話もの「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」と同じタイプの作品だが、芸がない感じはこちらのほうが強い。
本作を作ったティナ・サッターはこの記録を舞台化し、それを映画にしたのが本作とのこと。情報保護などの理由で音声が途切れるところで話し手が画面から消えるのは映画的工夫だ。
映画から離れると、既に解決済みの事件とは言え、かかる記録が公開されたことに感心する。他方、トランプ政権は政権と意見を異にするメディアを排除する。どの国であっても、政権は自身の政策や考えに自信があるなら、堂々と構えて反対意見に対峙すべきである。それはともかく、こういう極端な現象が起きるアメリカは妙な国と言わざるを得ない。
実はアメリカの報道自由度は以前から余り高くないが、今回のトランプ政権の態度により来年さらに下がるだろう。
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