映画評「ミンナのウタ」

☆☆(4点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・清水崇
ネタバレあり

村と島というローカル・ホラーから清水崇監督が原点に帰って来た。
 ビデオ版「呪怨」が2本で一つの話を構成するという体であった為に単独で評価するととんでもない低評価になった記憶があるので、原点に戻ったことは必ずしも喜べない。ローカル・ホラーものでも「呪怨」系でも疑問百出であるのは同じ。

EXILE系のアイドル・グループ GENERATIONS のメンバーが本人役で出演というのが話題で、だから公開初日満足度が該当週の1位だったのだろう。彼らのファンであるなら何でも満足するでしょうよ。

メンバーの一人小森隼(本人)が失踪し、マネージャーの早見あかりが、元刑事の私立探偵マキタスポーツに、支払いは3日間に限るという条件で行方をつかむように依頼する。
 探偵が調べるうちに、失踪者がパーソナリティを務めるラジオ番組で偶然30年前の封印されたカセットテープを聞いたことと関連があるこという事実に行き当たり、発送者の当時高校生だった少女穂紫朋子の、今は空き家になっているらしい家を訪問する。その直前に訪問していたメンバーがループする母親に遭遇する。

他の監督作「リング」のビデオをカセットテープに変え、「呪怨」とリンクさせたようなお話で、女子高生の弟の名前が「呪怨」と同じく俊雄である。拘ると言おうか、自ら「呪怨」宣言をしているような感じだ。

この手のホラー映画に疑問をぶつけても余り意味がないのだが、母親が何故ループするのか論理的には全く不明。怖さが醸成できれば何でも良いのだろう。5歳時くらいの霊体で出て来る俊雄が生まれる前に死んだと理解せざるを得ない見せ方をしているのも妙(あの少年は俊雄ではないという説も成り立つが、余り意味がない)。
 霊体となった女子高生に同情を惹く要素が全くないのも問題で、家族関係に問題があったように取れる説明が出て来るものの、回想的な画面からはそういう問題は全く伺えない。

最後の最後がホラー映画の例によって例の如くで苦笑ものながら、比較的ハッピー・エンド的なのが良いということにしておく。

メンバーの識別が全くできないのは爺にはやや不利だが、できても評価は多分変わらない。

音楽は動画なしのコンポでしか聴かないので、 “踊って何ぼ”の連中には興味がない。

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